"ガラッ"
勢いよくドアを開けた瞬間、教室中に響き渡るような声で彼女は挨拶をした。
それに続いて私は彼女とは違って控えめに挨拶をする。
彼女は人気者。
彼女が挨拶をしたと思ったらすぐに彼女の周りに人だかりができる。
私はそれを静かに見守ってるだけだ。
中には私にも話を振ってくれる子もいるけど....
やっぱり私は大人数でいることがあまり好きじゃない。
昔から変わらない。
でも昔は人と接すること自体が苦手だったから、昔と比べるとだいぶ良くなったのかも。
そんなことを考えているうちに、周りに集まってきた子たちと軽い会話を終えた彼女が話しかけてきた。
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久しぶりの屋上。
最後に来たのは冬前だからか、冬真っ只中のこの時期に来るとまた違う空気になっているような気がする。
私は何ヶ月か前の思い出を蘇らす。
なんだか複雑な気持ちになったけど、私はその気持ちを隠すように静かに笑った。
それから私たちは予鈴がなるまで笑って話した。
"キーンコーンカーンコーン"
その音を聞いて、ふっと我に返る。
時一刻と時間は過ぎている。
それと同時に、私が彼女と過ごせる時間も減っていく。
時間が止まってほしいと本気で思ったことはこれが初めてだ。
でも私は彼女にそう思っていることは言わず、少し胸がザワザワしながらもそれからの授業を受けていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。