第22話

21.
471
2020/04/03 08:54
"ガラッ"




雨宮 麗
雨宮 麗
おっはよ〜!!


勢いよくドアを開けた瞬間、教室中に響き渡るような声で彼女は挨拶をした。



野々村 陽葵
野々村 陽葵
おはよう


それに続いて私は彼女とは違って控えめに挨拶をする。


加藤 紫帆
加藤 紫帆
麗おはよー!
高木 凛
高木 凛
おはよ〜


彼女は人気者。



彼女が挨拶をしたと思ったらすぐに彼女の周りに人だかりができる。





私はそれを静かに見守ってるだけだ。




中には私にも話を振ってくれる子もいるけど....


やっぱり私は大人数でいることがあまり好きじゃない。





昔から変わらない。




でも昔は人と接すること自体が苦手だったから、昔と比べるとだいぶ良くなったのかも。




そんなことを考えているうちに、周りに集まってきた子たちと軽い会話を終えた彼女が話しかけてきた。



雨宮 麗
雨宮 麗
ひ〜なたっ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
ん?
雨宮 麗
雨宮 麗
ちょっと屋上行こっ
























.









雨宮 麗
雨宮 麗
うは〜久しぶりだね〜!!
野々村 陽葵
野々村 陽葵
そうだね〜


久しぶりの屋上。



最後に来たのは冬前だからか、冬真っ只中のこの時期に来るとまた違う空気になっているような気がする。



雨宮 麗
雨宮 麗
私たちが1番最初の会話をしたのもここだったよね
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん



私は何ヶ月か前の思い出を蘇らす。



雨宮 麗
雨宮 麗
確か私その時泣いてたよね笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
てかなんで泣いてたの?
雨宮 麗
雨宮 麗
え〜なんでだろ笑
何となく、寂しくなったのかなぁ
雨宮 麗
雨宮 麗
分からない!笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
なんだぁ笑
雨宮 麗
雨宮 麗
そんで、闘病日記を陽葵に見せたんだよね
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん
本当に驚いたよ
雨宮 麗
雨宮 麗
だよね笑
私も日記は家族以外の誰かに見せるの初めてだったからドキドキした笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
今も日記つけてるの?
雨宮 麗
雨宮 麗
もっちろん!
毎日欠かさずつけてるよっ!
野々村 陽葵
野々村 陽葵
そうなんだ
それっていつ見せてくれるの?笑
雨宮 麗
雨宮 麗
もう見たでしょっ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
いや本当に最初の方しか見てないから笑
雨宮 麗
雨宮 麗
えぇ〜う〜ん....
雨宮 麗
雨宮 麗
まぁとにかく私が生きてるうちに見せることはもうないかな笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
え〜.....
雨宮 麗
雨宮 麗
でもね私が死んだらあの日記は陽葵に渡してって、そう家族に言ってあるから
雨宮 麗
雨宮 麗
あとは陽葵の好きにしていいよ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん、分かった



なんだか複雑な気持ちになったけど、私はその気持ちを隠すように静かに笑った。


雨宮 麗
雨宮 麗
よろしくね
雨宮 麗
雨宮 麗
ってなんか静かな雰囲気になってるけど!笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
確かに笑
雨宮 麗
雨宮 麗
もう終わり終わり!
もっと楽しい話しよーよ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん!笑







それから私たちは予鈴がなるまで笑って話した。










"キーンコーンカーンコーン"








その音を聞いて、ふっと我に返る。






時一刻と時間は過ぎている。



それと同時に、私が彼女と過ごせる時間も減っていく。







時間が止まってほしいと本気で思ったことはこれが初めてだ。








でも私は彼女にそう思っていることは言わず、少し胸がザワザワしながらもそれからの授業を受けていた。

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