次は移動教室。
もうこのクラスにはグループが出来上がっている。
そのためグループでガヤガヤと教室を出ていく人もいれば、数人で談笑しながら出ていく人もいる。
.........が
私はクラスでは目立たない人物。
つまり一匹狼タイプという訳だ。
友達がいないわけではないけれど、こういう時はだいたい一人で行動する。
私はため息混じりに教室を出ていく。
と、その時
私がくるりと振り替える。
目の前にいたのはなんと彼女、麗だった。
困惑している私をよそに、彼女は言う。
そう言ってペンを私に差し出した。
彼女はニコッと満面の笑みで笑い、ピースサインをしながらグループで行動していた人たちの元へ行ってしまった。
この時私は確信した。
私と彼女は性格も、考えも、なにもかもが違うのだと。
そして住む世界が違うのだと。
それと同時に、彼女への尊敬する気持ちがグンと高まった。
私は.......やっぱり彼女が憧れだ。
本当に手の届かない人物だ。
これが彼女と初めて話した日であり、これからの私の生活を一変させるきっかけになった日でもあった______。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。