ニヤッと笑ってノートをヒラヒラとさせる。
彼女は鞄の中をゴソゴソと漁る。
そんな彼女を横目に、やりたいことが書かれたノートのページを丁寧にめくった。
そこには、彼女らしいやりたいことがずらっと並んでいた。
一ページ目。
“ピアノでカノンを弾けるようにする!”
赤ペンで書かれたその下に、黒ペンで達成するためにすることが書かれていた。
[達成するためにすること]
・毎日ピアノに手を触れる!
・家族や先生、友達にアドバイスをもらう!
[達成したら]
・私の一番好きな曲だから、死ぬ前に一度、陽葵に聴いてもらいたいな。
そのページを見た私は、楽しみにしてるね、そう心の中で彼女に伝える。
リストを返そうとして、チラッと前の方を見た。
彼女はまだ日記をかいてるようだ。
つい、彼女の手元の日記に目がいってしまう。
その時、私は見てしまった。
彼女が書いていた日記の内容を。
私にも隠していた、彼女の"本当の秘密"を________。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!