第29話

28.
526
2020/02/10 11:37
麗のお母さん
__________だった......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
え....?
野々村 陽葵
野々村 陽葵
ご、ごめんなさい、よく聞こえなくて....
麗のお母さん
........
麗のお母さん
ダメ.....だった......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
え.....









「ダメだった」






その言葉を聞いた瞬間、全身から血の気が引いていくのを感じた。


野々村 陽葵
野々村 陽葵
じゃあっ....もう麗にはっ....
麗のお母さん
会えない......わね.....
野々村 陽葵
野々村 陽葵
そんな......



私の目から大粒の涙がボタボタと流れる。





受話器の奥から麗のお母さんも泣いている声が聞こえた。








しばらく2人で号泣していた。














何分経ったかもよく分からないくらい泣いて少し落ち着いてから、麗のお母さんが私に言った。


麗のお母さん
こんな時になんだけど、陽葵ちゃんに渡したい物があるの
野々村 陽葵
野々村 陽葵
.....はい
麗のお母さん
今から....行ってもいいかな?
野々村 陽葵
野々村 陽葵
あ.....待ってください、そしたら私が麗の家に行きます...
麗のお母さん
あら....本当?いつでも待ってるから、いつでも来てね
野々村 陽葵
野々村 陽葵
はい.....



そこで通話は切れた。





と同時に、私は家から飛び出して一目散に麗の家へと向かった。







"ピンポーン"








チャイムを鳴らすと、すぐに麗のお母さんが出てきて家に入れてくれた。


麗のお母さん
突然ごめんなさいね.....来てくれてありがとう....
野々村 陽葵
野々村 陽葵
いえ....それで渡したい物ってなんですか.....?
麗のお母さん
これ.....



そう言って彼女の付けていた「闘病日記」を私に差し出した。


野々村 陽葵
野々村 陽葵
ああ......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
ありがとうございます.....
麗のお母さん
あと...これも麗から預かってたの.....
野々村 陽葵
野々村 陽葵
これは.....?
麗のお母さん
麗から陽葵ちゃんに向けた手紙よ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
え......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
読んで....いいですか?
麗のお母さん
もちろん




震える手で封筒を受け取り、封を開けた。









その手紙には、彼女が私に「本当に伝えたかったこと」が書かれていた。

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