第30話

29.
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2020/02/10 11:57
麗からの手紙には、こんなことが書いてあった。

















"陽葵へ"


"この手紙を私のお母さんから渡されたということは、私の手術が終わったっ
てことかな?
今陽葵の隣に私はいますか?
陽葵は....笑っていますか?
なんてね笑そんなことを心の中で願いながら今この手紙を書いています。


まず、今まで私と一緒に過ごして来てくれてありがとう。

私が小学生の時なんかは、皆に私の病気のことを知られていたから、だいぶ気
を使わせちゃったの。だから私は死ぬまで病気のことを誰にも言わない予定だ
った。でもね、陽葵と最初に話したあの日、「陽葵なら受け止めてくれる」そう
思ったんだ。だから私は陽葵にだけ伝えたの。......やっぱり、私の思った
通りだったね。陽葵は私が病気を患っているという事実を受け止めてくれて、
変に気を使わないでいてくれたよね。伝えた人が陽葵で良かった。改めてそう
思ってるよ。


そして、私が手術する時も沢山支えてくれたよね。
きっと、ていうか絶対不安だったでしょ笑
無理しちゃってた所も正直あると思う。
私もね、陽葵の前では笑ってたけど、内心すごく不安だった。陽葵に抱きついて泣きたいくらいだったよ。手術が近づいてくる度に、私の泣く頻度も増えた。それくらい寂しくて、怖くて、不安で.....いろいろな気持ちが入り交じってぐちゃぐちゃだったよ。

でもね、陽葵といるとそんな思いが吹き飛んじゃうくらい楽しかった。

私を最後まで幸せにしてくれてありがとう。


もっともっと一緒にいたかった....
でも仕方ないね笑



最後になるけど、本当にありがとうの一言だけじゃ足りないくらい感謝してる。陽葵には沢山支えて貰ったし、元気づけて貰ったね。
そのおかげで私は1つも後悔せずに過ごせたよ。




大好き。


だから陽葵も私のことを忘れないで....?


陽葵は元気に過ごしてね。







ありがとう。 麗より"

















野々村 陽葵
野々村 陽葵
っ.........



手紙を読み終えた途端、私の目から涙が溢れた。












彼女からの最後の手紙。


彼女から私へ最後に伝えられたこと。











"ありがとう"









胸いっぱいにその思いを広がらせて、私は声をあげて泣き続けた_____

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