第28話

27.
467
2020/02/10 09:10
野々村 陽葵
野々村 陽葵
やっほ!
雨宮 麗
雨宮 麗
あ!陽葵〜おはよ!
野々村 陽葵
野々村 陽葵
おはよ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
気分はどう?
雨宮 麗
雨宮 麗
バッチリ!
雨宮 麗
雨宮 麗
でもやっぱり緊張するな....笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
そりゃそうだよ....
雨宮 麗
雨宮 麗
まぁね笑
野々村 陽葵
野々村 陽葵
でも頑張って!応援してるから!
雨宮 麗
雨宮 麗
ありがと!


今日は3月18日。


麗が手術をする日だ。



とうとうこの日がやって来てしまったのである。


私はさっきから寂しい気持ちを抑えるのに必死だった。

必死に笑っていた。




彼女と過ごせるのが、今日で最後かもしれないから。
















そして、遂に10時になってしまった。


看護師さんが麗を呼びにやってきた。


看護師さん
そろそろ行こうか....
雨宮 麗
雨宮 麗
は〜い....
雨宮 麗
雨宮 麗
じゃ、行ってくるね


彼女は私の目を見て静かにそう言った。

野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん....


そして、麗が立とうとしたその時、私は大声で叫んだ。


野々村 陽葵
野々村 陽葵
大好きだからっ!
野々村 陽葵
野々村 陽葵
いつまでも....忘れないから...
雨宮 麗
雨宮 麗
.......私もだよ、陽葵
雨宮 麗
雨宮 麗
これまで私と過ごして来てくれて本当にありがとう
雨宮 麗
雨宮 麗
それに病気について理解して接してくれてありがとね
野々村 陽葵
野々村 陽葵
ううん.....
雨宮 麗
雨宮 麗
私は陽葵と過ごしてきて後悔はしてないよ
雨宮 麗
雨宮 麗
本当に楽しかった
雨宮 麗
雨宮 麗
ありがとう








「ありがとう」






その言葉を彼女は力強く言った。



その一言は私の胸の奥にすっと染み込んだような気がした。


野々村 陽葵
野々村 陽葵
私も...感謝してることばっかりだよ
野々村 陽葵
野々村 陽葵
ありがとう


涙を堪えながら震える声でそう言った。


雨宮 麗
雨宮 麗
じゃあ、そろそろ行くね
野々村 陽葵
野々村 陽葵
うん
頑張ってね!
雨宮 麗
雨宮 麗
うん!


満面の笑みで彼女は答えた。


















そして.....彼女は手術室へと運ばれ、私の目の前から消えていった。



野々村 陽葵
野々村 陽葵
(成功しますように.....)


心の中でずっとその言葉を唱えていた。


いつまでも、ずっと。

















麗のお母さんに長い時間かかるから、と言われ、一旦家に帰ってきた。




まだソワソワした気持ちも、不安な気持ちも残っている。





だが、私も麗も希望を捨てていない。




いくら成功率が低い手術だからといって、私たちは諦めていなかった。










だから麗のお母さんから電話が掛かってくるのをひたすら待った。



心の中で祈りながら、何時間も、何時間も________

















"プルプル"





もうすぐで4時になろうとしているその時、家に電話がかかってきた。


私はその音が聞こえた瞬間、バタバタと音を立てながら階段を降り、勢いよく受話器を手にした。









野々村 陽葵
野々村 陽葵
はいっ
麗のお母さん
あ....陽葵ちゃん?
野々村 陽葵
野々村 陽葵
はい、そうです.....
麗のお母さん
手術、終わったよ......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
はい......


自然と声が強ばっていくのが自分でもよく分かった。


野々村 陽葵
野々村 陽葵
手術はっ成功したんですか......?
麗のお母さん
.........
野々村 陽葵
野々村 陽葵
........



しばらくの沈黙が続いたあと、麗のお母さんは泣きながらこう言った。


麗のお母さん
__________だった......
野々村 陽葵
野々村 陽葵
え....?








麗のお母さんの涙は手術が成功したことによる嬉し涙なのか、それとも________

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