それから、2週間が過ぎた頃…
…これは,夢だろうか
私は、それを確かめるかのように、声のする方へと振りかえる。
そこには、確かに叉萠の姿があった。
そして、彼は私のもとへ、ゆっくり歩いてくる。
その目には、私しか映っていない。
ねぇ、お願い
なにも、いわないで。
これ以上…話を聞いているのが怖い。
彼の言葉を遮るように、私は彼に抱きついた。
抱き締め返して…
夢でも、良いから。
夢ならいっそ…
壊れちゃう程、愛してくれれば良いのに。
叉萠は、優しく私を抱き締めてくれた。
それが嬉しくて…
他に何もいらない。
やだ
私を突き放した、叉萠の顔は、
あまりに切なくて、
弱々しい笑顔だった。
そういって、
優しく私の頭を撫でた、叉萠の手は、氷のように冷たくて、ゾッとした。
生きてる…よね??
この後…
愛を確かめ合ったところで、何も変わらないのかな
叉萠は…
どうして…
あんなこと言ったの??
I really like you...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!