その日は丘の上にいた。
見晴らしのいい丘だった。
サクラは立つ。
見ていないけど感じる。
そうやって訓練されたから。
視線の数、足音、衣服のこすれる音…
ひとつひとつを感じ取る。
できなければご飯なんてもらえない。
ムチで叩かれるのは痛くない。
でも、切られたり、焼かれたりするのは…
サクラは振り返り告げる。
気づいたときには遅かった。
そうだ。このあと…
一瞬にも永遠にも感じられた。
サクラの身体が宙を舞う。
最後にサクラはなんて言ったか思い出した。
「逢沢くん。私の分も生きてね。
お兄ちゃんもよろしくね。」
「ありがとう」
再び銃声が鳴り響く。
俺の肩に弾が貫通する。
そこで記憶は終わった。
現実に引き戻される。
俺は全てを話す。
先生は、一旦間をおいて続ける。
男がリビングに何人も何人も入ってくる。
召集所なんていったら、
二度と帰ってこれないのに…
先生は小さなメモを手渡した。
俺は無言で受け取る。
男達が出ていったあとに開けた。
中身は…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。