よく晴れた空、
真っ白な雲、
そしてそこに似合わない僕。
この冴えない物語の冴えない主人公を務めます。
永井です。よろしく。
なんだこの会話。
僕はみての通りの典型的なインキャです。
気がつけば学校に着いていたようだ。
今日からだるい日常が始まるんだ…
辛すぎる…でも、
僕には陰ながら見つめている天使がいる…!
僕は教室の扉を静かに開く。
ガラガラガラ…
視線が怖いな…。
クラスのみんなになんて思われているんだろう。
女子1「…でさぁー」
女子2「マジィ〜?やばすぎでしょー」
女子1「それなぁ」
いた!僕の天使!!
声に出さないように歓声をあげる。
今日の笑顔も可愛いなぁ…
ふと、彼女と目が合った。
僕は慌てて逸らす。
危ない…。まさか見られるなんて…
一度顔を上げると、まだ天使は僕のことを見ていた。
恥ずかしそうに笑顔を見せる。
僕は昇天しそうになるのを防ぎつつ、自席に座った。
数日後…
放課後、僕は部活で少し下校が遅れていた。
僕の部活はガーデニング部。
全生徒から全く見られていない
中庭のガーデニングをするのが仕事だ。
そろそろ廃部になりそう…
やばい、告白セリフを聞いてしまった!
相手は誰なんだろう?
好奇心に駆られ、隠れて返事を伺う。
なにぃ!?お相手はまさかの天使だ!
頼む!フラれてくれ…!
よかった…。ほっと一息ついていると、
しつこいな…
僕は見かねてついつい声をかけてしまった。
あ、驚いた。可愛い。
めちゃくちゃ噛んだ。ダサ、僕。
目に涙を浮かべながら彼は去っていった。
気まずすぎる…。なんとかこの状況を打破しなければ…
驚きすぎて変な声出た!恥ずかし…
……なんて、言えたらいいけど。
相変わらず僕は黙ったままだ。
はっと天使が口を塞いだ。
なんだ、どうしたんだろう…?
焦ってて可愛いなぁ…
あ、またねって言い忘れた。
僕ってほんとなんもできないな…
告白もできないし…
てゆうか、顔赤くなかったかな!?
そんなことを考えつつ、僕は帰路についた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。