第21話

通りすがり ハイセside
506
2021/02/18 15:06
近頃“反アオギリの喰種達の様子がおかしい”と言う話題が朝の会議に出て、僕は顔を引き攣らせていた。現在は、それとは関係ない喰種の行方を追い、六月君と一緒に情報収集している最中なのだが、異能者についての話が頭から離れない。
佐々木琲世
佐々木琲世
(どうしよう……様子がおかしい原因知ってるんだけど……異能者と手を組んでるとか言ったら冷めた目で見られそうだし。けど、被害が出る前に言った方が良いのかな?)
六月透
六月透
先生、大丈夫ですか?考え込んでるみたいですけど
佐々木琲世
佐々木琲世
う、うん。あ、そうだ。影嶺さんからメールが来て、今夜敦君連れてシャトーに来るそうだよ。と言うか、場所まで知られてるのが逆に怖い
六月透
六月透
確か、捜査官の誰かにお世話になって俺達のことを教えてもらったんですよね?その影嶺さんって人
佐々木琲世
佐々木琲世
あー……うん。そうだね
六月透
六月透
影嶺さんの世話をしてる捜査官って誰なんですかね
佐々木琲世
佐々木琲世
(有馬さんって言っていいもんなのかな。コレ。知ったら驚くだろうなあ六月君達)
考えながら歩いていると、前から歩いてきた誰かと肩がぶつかり、反射的に「すみません!」と謝る。顔を上げると、セーラー服を着た女の子が居た。
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
こちらこそ申し訳ありません。お怪我は?
佐々木琲世
佐々木琲世
い、いえ……
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
良かった。では、私はこれで失礼しますわ。早く頼まれていた買い出しを済ませて、“喫茶店”へ戻らないと
女の子は元気良く言うと、そのまま走って何処かへと行ってしまう。“喫茶店”で働いているのだろうか。
佐々木琲世
佐々木琲世
(お嬢様口調だったなあ。雰囲気が大人びてたし……)
六月透
六月透
先生、大丈夫ですか?
佐々木琲世
佐々木琲世
うん。じゃあ行こうか
僕達が今居る場所は20区。
追っている喰種の情報収集をしながら、街の中に“カケラ”は無いのか気になり、自然と探してしまう。
佐々木琲世
佐々木琲世
(敵異能者現れたりしたらどうしよう。異能は様々だから、場合によっては物理攻撃が効かなかったりして……)
六月君に気付かれない程度に首を横に振り、「今は“喰種”に集中しないと」と、心の中で呟き、心を入れ替える。

プリ小説オーディオドラマ