近頃“反アオギリの喰種達の様子がおかしい”と言う話題が朝の会議に出て、僕は顔を引き攣らせていた。現在は、それとは関係ない喰種の行方を追い、六月君と一緒に情報収集している最中なのだが、異能者についての話が頭から離れない。
考えながら歩いていると、前から歩いてきた誰かと肩がぶつかり、反射的に「すみません!」と謝る。顔を上げると、セーラー服を着た女の子が居た。
女の子は元気良く言うと、そのまま走って何処かへと行ってしまう。“喫茶店”で働いているのだろうか。
僕達が今居る場所は20区。
追っている喰種の情報収集をしながら、街の中に“カケラ”は無いのか気になり、自然と探してしまう。
六月君に気付かれない程度に首を横に振り、「今は“喰種”に集中しないと」と、心の中で呟き、心を入れ替える。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。