第10話

人食い虎 ハイセside
977
2021/02/15 10:56
“人食い虎”が近くの廃墟ガレージで暴れてると言う通報を受け、訳あり捜査官で余り良く思われていない僕が仕事を押し付けられてしまった。目的のガレージに辿り着くと、騒音が聞こえ、僕達は中へ入る。
不知吟士
不知吟士
うわっ!?サッサン、マジで虎居る!
六月透
六月透
白い虎ですね。しかもサイズが大きい……
瓜江久生
瓜江久生
(動物園から逃げ出したにしても)何処か普通の虎とは違って様子が可笑しい……
米林才子
米林才子
か、赫子とかクインケとか使わん方が良い?ママン
佐々木琲世
佐々木琲世
うーん、せめてクインケで殺さないように捕獲、かな?他に専用の武器は無いし。人食い虎とは言ってたけど、死体とか何処にも見当たらないし……人食いなのはデマかな?
そんな話をしていると、虎が容赦なく襲いかかって来る。だが、虎がただ人を襲うにしては違和感があった。
佐々木琲世
佐々木琲世
(なっ……!?何だ、この破壊力……!)
虎の動きや威力は、単純に“襲う”では無く、まるで僕達と“戦闘”しているかのようで、速く、強く、普通の動物にしては不自然でしかない。重ねられた積荷を壊した破壊力なんて、凄まじいものだ。普通の虎なら有り得ない。
瓜江久生
瓜江久生
この虎、やっぱり可笑しい
瓜江くんが虎の攻撃を避け、不知君がクインケを当てようとするも、虎はガレージの壁に移動し、攻撃をかわした。
不知吟士
不知吟士
は、はぁ!?虎が、壁に……!?どうなってんだ!
六月透
六月透
あの虎、“闘ってる”……んですかね?
米林才子
米林才子
こんな的確に闘う虎、初めて見たぞよ!これ、絶対動物園から逃げ出したとかじゃないて!
佐々木琲世
佐々木琲世
なら、何処から……?っ、才子ちゃん、来る!
虎が才子ちゃんの方に飛び掛る際に爪を立てて、空中で引っ掻く素振りを見せると、青い光のようなものが出て才子ちゃんの後ろにある積荷が三等分に斬られた。
米林才子
米林才子
ふぁ!?なんや今の!引っ掻き技!?
六月透
六月透
今の当たってたら、才子ちゃん三等分にされてたよ
米林才子
米林才子
むっちゃん怖いこと言うな!
佐々木琲世
佐々木琲世
だけど、普通の虎じゃないって言うのは確かみたいだね。この虎……闘える。僕達を完全に狙って来てる。不思議な技も使えるみたいだし……
瓜江久生
瓜江久生
なら、どうしますか?このまま逃がせば、それこそ人を殺しかねません
瓜江君に言われ、僕がどうするか考えていると「其れは“人間”だよ」と声が聞こえ、入口の方を見る。逆光で姿は良く見えないが、その人物がゆっくりとこちらへ歩いていくにつれ、姿がハッキリ認識出来るようになる。
佐々木琲世
佐々木琲世
君……もしかして、一昨日の?
やって来たのは、喰種に襲われて僕達が助けた若者。名前は確か……影嶺威吹と言っただろうか。
影嶺 威吹
影嶺 威吹
一昨日のお礼と言ってはなんだが────僕が手を貸してあげよう

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