第22話

どっちも
46
2020/10/15 09:00
俺は彼女と出会ってから告白された時までを愛に全て話した。話終えると愛は“そっか。”と言った。
敦也も辛かったんだね…
敦也
俺よりもあなたの方が辛かったと思うけどな。
それは当たり前。
愛にバッサリと切られた俺は思わず苦笑した。
敦也
ほんと、お前らって仲良いな。
そりゃ、ね?笑
ただ、私だったら譲らないよ。
大切な親友だからこそ、正々堂々と戦いたい。
俺は髪をぐしゃぐしゃとかいた。
“正々堂々”ね、
敦也
そっ、か…。
愛は“はあ、”とため息をついた。
零くんも譲ってくれなんて言うものじゃないし、それを了承する敦也も敦也だよ。
敦也
怖かったんだよな、多分。
そう言って俺は笑う。
え?
敦也
零と今まで通り入れなくなることが。
俺は今までの事を思い出すように目を細めた。
敦也
あのときはほんとに浮いててさ、笑
敦也
1年生の頃はバスケ部で俺と仲良くしてくれたのが零だけだったんだよ。
敦也
零だけは普通に接してくれてた。
本当に嬉しかったんだ。
敦也
あなたも俺の悩み聞いてくれて、
2人とも俺にとって大切な人なんだ。
敦也
どちらかをとるなんて俺にはできなかった。
そう言い終わると俺は俯いた。
“どちらか”じゃないよ。
“どっちも”とるんだよ。
敦也
え、
思わず俺は顔を上げた。
そんなこと考えたこと無かった。
俺が何も言わないでいると愛は苦笑を浮かべた。
ねえ、今はまだあなたがあの状態だから無理だけど、もしあの子の記憶が戻って落ち着いたら伝えてあげて。
敦也
…ああ。
じゃあ、私2人を探してくるね。
敦也はそのノート置きに行ってきなよ。
もし、私たちと出会えたら
謝る時間作ってあげる。
彼女はにこっと笑うと2人を探しに行った。
俺もノートを置きに職員室へと向かった。

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