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第23話

わかんない
67
2020/10/22 09:00
紫音
あなた!待って!あなたっ、!
紫音の声で私はピタッと止まる。
あなた

ねえ、紫音。

紫音
どうした?
私は彼女の方に振り向いて言う。
あなた

どうして私は“彼だけ”
忘れちゃってるのかな、

すると涙がぽろぽろと流れ出した。
あなた

あんな顔させたくなかったのに、

あなた

どうして…、
敦也のことだけわからないの…?

紫音
あなた…。
あなた

もう、わかんないよ…、

紫音は私を抱きしめてくれる。
紫音
大丈夫。何があっても私がそばにいるから。愛もいるし。
紫音
まずは今日一緒に病院行こ?
私は何も言わずこくんと頷いた。
その後はただひたすら彼女の胸で泣き続けた。
それからしばらくして愛が私たちのところに来た。
こんなところにいたの?
ずっと探してたんだから。
口を膨らませて拗ねた口調で言う。
紫音
人気のないところにしたからね。
LINEで伝えればよかった、ごめん。
いーのっ。
どう?あなた。落ち着いた?
あなた

うん。少しは。ありがとう。

愛はぎゅっと私に抱きつく。
苦しいぐらいに。
あいつにはきちんと説教したからね。
あなた

敦也は悪くないよ?
誰だって、忘れられたらああなるよ…

紫音
愛。今日はもうその話止めよ?
あ、そうだね、ごめん。
あなた

ううん。大丈夫。

私は笑顔を見せた。
泣きまくって目は痛い。
落ち着いたと言っても元気か、と言われるとそうじゃない。
そんなことを2人もわかってくれているようで、私を気遣ってくれた。
紫音
一旦保健室行こうか。
午後の授業休んじゃいな。
あなた

うん…。

そして私は午後の授業を丸々休むことになった。

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