翌日 、約束通り綾瀬は排球部が居る体育館に足を
運んだ 。
約二年ぶりの感覚に胸が高鳴る 。
自室の押入れに眠っていたシューズやサポーターを
久しぶりに手に取った今朝の感覚は忘れられない 。
どれだけ騒いだことか 。
…新作の苺タルトを食べる前より騒いだに違いない 。
体育館の隅で膝にサポーターを着けていると 、影山が話しかけてきた 。
影山はあの試合を生で見ている人物 。
北川第一の男子バレーボール部も綾瀬達の試合を観に来ていたから 。
私が怪我をした瞬間を見ているから 、不安で仕方ないのだろう 。
たぶん 。
私はそう言って 、影山の背中を軽く叩く 。
本当は頭撫でたい所だけど身長差的に無理なのです 。
そんな二人のやり取りを見て微笑む先輩方は 、昨日の話を思い出す 。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
昨日の部活帰り 、東峰が影山に聞いた質問の答えは
影山が密かに片思いをしているだけだった 。
西谷が綾瀬のお相手が誰なのか、影山に聞いたが
その質問に答えることは無かった 。
あんな可愛い女子が 、人を殴る ‥‥??
全く想像が出来ない烏野排球部員 。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
念入りに準備運動を済ませてひとつ息をつく 。
コートに向かって礼をし 、私は白線を越えた 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。