あの記事を女子に見られてるならまだしも 、まさか
男子にまで見られていたとは驚き 。
皆 、月バリを見たから知っている 。
綾瀬あなたは怪我でバレーの世界から退いたことを 。
もうバレーが出来る身体ではないということを___
「 彼氏ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ !?!? 」
体育館内に男子排球部員の声が響き渡った 。
綾瀬は一度乾咳をし脱線した話を無理やり戻した 。
綾瀬は皆に頭を下げると 、体育館を後にした 。
流れであんなことを言ってしまったけど 、明日どうしよう 。
別に暇だから行くことは出来るけれど 、私が行った
ところで何も変わらないのに 。
只々 、私自身がバレーしたくなるだけなのに 。
そんなことを考えながら歩いていると 、オレンジ頭の男の子が私の名前を叫んだ 。
私は振り返って 、体育館の方を見る 。
ふふっ 、面白いじゃん 。
綾瀬は手をヒラヒラさせながら学校を出ていった 。
日向の行動力に誰もが驚いたが 、それよりも
綾瀬がその日向のお願いを許可した事の方が驚きだ 。
あの全国大会からバレーの世界に姿を現さなくなった天才が明日 、二年ぶりにコートに立つのだ 。
それがいかに凄い事なのか 、皆分かっている 。
いつもよりも皆の気合の入った返事に 、澤村は笑みを
溢したのであった 。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。