目の前に立ちはだかる高い高い壁 。
その向こうはどんな眺めだろうか 。
どんな風に見えるのだろうか 。
" 頂の景色 "
私には 、見ることの出来ない景色 。
一度見てみたかった景色 。
そんな私の小さな夢は 、呆気なく崩壊した 。
遡ること二年前 ──────
『全日本中学校バレーボール選手権大会 女子準々決勝
宮城県代表北川第一中学校 vs 愛媛県代表南葉中学校』
北川第一中学女子バレーボール部初の全国大会出場 。
ここまで来たら 、目指すは優勝 。
私含む部員全員がそう心から強く思っていた 。
1セット目を25-17で勝ち取り 、2セット目18-14と
北川第一がリード 。
準決勝進出まであと7点 。
体力的にも考えて 、3セット目には突入したくない 。
このセットで試合を終わらせておきたい 。
体の調子などどうでも良く 、その当時の私はただ勝つことだけを考えていた 。
皆からの期待を一身に背負っていた中学3年生の少女の体はとうに限界を超えていた 。
そして 、想像すらしたくない出来事が起きたのだ 。
綾瀬は2度ボールを地面に叩きつけ 、大きく深呼吸をする 。
手首のスナップをきかせ 、ボールを高く上げる 。
練習通りの助走 、左足三歩目で思い切り飛ぶ ___
最高打点で右手がボールに届く 。
そのまま相手が居ない場所を狙ってフルスイング 。
_______ 練習通りのジャンプサーブだった 。
着地時に左膝に生じる激しい痛み 。
ブツッという音が聞こえたのは気のせいだろうか 。
全く力が入らない 。
この時 、私は察した 。
" もうバレーボールをすることは出来ない " と 。
綾瀬は 、その場に崩れ落ちた 。
場内が不穏な空気に包まれた 。
そして 、その月の月刊バリボーには大きく一面で
こう書かれてあった 。
『 若き天才 再起不能か 』
﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏
この作品の主人公 、綾ちゃんのInstagramです 💓
作品の進行に合わせて投稿していくので是非 ❕
お気に入り登録お願いします 🙇🏻♀️🫧
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。