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第1話

若き天才の小さな夢
3,792
2022/08/19 10:00
目の前に立ちはだかる高い高い壁 。



その向こうはどんな眺めだろうか 。



どんな風に見えるのだろうか 。





" 頂の景色 "








私には 、見ることの出来ない景色 。



一度見てみたかった景色 。


そんな私の小さな夢は 、呆気なく崩壊した 。











遡ること二年前 ──────




『全日本中学校バレーボール選手権大会 女子準々決勝
宮城県代表北川第一中学校 vs 愛媛県代表南葉中学校』

北川第一中学女子バレーボール部初の全国大会出場 。




ここまで来たら 、目指すは優勝 。


私含む部員全員がそう心から強く思っていた 。







1セット目を25-17で勝ち取り 、2セット目18-14と
北川第一がリード 。


準決勝進出まであと7点 。


体力的にも考えて 、3セット目には突入したくない 。


このセットで試合を終わらせておきたい 。







体の調子などどうでも良く 、その当時の私はただ勝つことだけを考えていた 。


大会関係者
今年の北川第一が強いのは 、あの
セッターがいるからですね 。
大会関係者
男子は及川と影山 、女子は綾瀬か 。

大会関係者
" 綾瀬あやせあなた " … 、
高校はどこに行くのか楽しみだな ‥ 。


皆からの期待を一身に背負っていた中学3年生の少女の体はとうに限界を超えていた 。




そして 、想像すらしたくない出来事が起きたのだ 。



あなたナイッサー !
一本入れてこー !!


綾瀬は2度ボールを地面に叩きつけ 、大きく深呼吸をする 。


手首のスナップをきかせ 、ボールを高く上げる 。






練習通りの助走 、左足三歩目で思い切り飛ぶ ___





最高打点で右手がボールに届く 。



そのまま相手が居ない場所を狙ってフルスイング 。











_______ 練習通りのジャンプサーブだった 。




あなた
‥‥え 、‥



着地時に左膝に生じる激しい痛み 。

ブツッという音が聞こえたのは気のせいだろうか 。

全く力が入らない 。







この時 、私は察した 。















" もうバレーボールをすることは出来ない " と 。










綾瀬は 、その場に崩れ落ちた 。




場内が不穏な空気に包まれた 。















そして 、その月の月刊バリボーには大きく一面で
こう書かれてあった 。








『 若き天才 ・ ・ 再起不能か 』












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この作品の主人公 、綾ちゃん綾瀬のInstagramです 💓


作品の進行に合わせて投稿していくので是非 ❕



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