年に1度、俺の元へ"生贄"が来る
いや、連れて来られる………同じか
去年は活きの良い娘だったが、半年も経たずに死んだ
死んだと言うより、殺した。
不愉快だったからな……そもそも俺の好みでは無い
俺の好みは、"一緒に居て幸せ" "心から愛したい"
これだけだった。俺の苦手と言うより
不愉快に思うのは
"ベッタリ甘えてくる" "気が散りそうになる"
その他色々あるが、今言った奴は嫌いだ。
俺が好きになれば殺しはしない
だが、今年は小さな小僧のようだ。
毎年、「女」か「小娘」だったのに
"疫病神" "宿儺に似ている" "髪色が変"
"目の下に傷がある" "身体能力がおかしい"
髪の色や目の下の傷、その他もろもろあって
何が悪い……不愉快だ…
だから俺は、生贄として連れて来た小僧の両親を殺した
小僧は驚いた顔をして
当たり前だ、小さい子にとって『死』というのは
まだ分からない事だ。だから俺は
そう答えた
どうやら捨てたというのは分かったらしい。
大泣きした。正直、俺は泣かれるのも嫌いだ。
普通なら殺しているところだが、殺さなかった
興味が湧いた、見た目が小さい頃の俺に似ている
そういうのもあるが何より……
"俺のものにしたい"
ふとその願念が湧いた
拒絶するだろう、そう頭に置きながら
そう聞いた。意外な事にその小僧は
俺の事を知っているのか…生贄として捧げる前に教え込んだのか分からなかったが……
小僧はそのまま話を続けた
…喰うわけが無い……だが、強いて言うなら…
さて……どう来るか
意外だった、普通なら逃げ出すところだ
「よろしくお願いします」
それを聞いた途端、この小僧は『死』を頭に入れつつ俺の元へ来たのだなと。
こうして、悠仁と俺との生活が始まった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。