第56話

EP. 53
2,036
2023/03/03 10:57







大公と屋敷の中に戻った時、

かなり顔を顰めたユンギ様の姿がすぐに見つかった。
 
彼は私たちに気付くと

鬼の形相でこちらに歩いてくる。







_@_
死にたいか
そんなに死にたいのか?
_@_
お、落ち着きなよユンギ…ㅎ




開口一番で物騒なことを口走り、

大公の胸倉を掴み上げるユンギ様。
 
ギッと睨みながら大きなため息を吐き出し、

ユンギ様は私を抱き上げた。




_@_
もう帰ります
ゆ、ユンギ様…
_@_
あなた、お前も後で説教だぞ
_@_
俺から離れるなって言ったのに
今日、何度、居なくなった
ごめん…なさい……
_@_
ちょっとユンギ…怒らないで、
あなたは悪くないよ
_@_
えぇよく分かってるじゃないですか
_@_
アンタのこと一生許しません
_@_
心狭すぎ




咎める口調で言う大公に、ユンギ様は

気に食わないと言いたげな視線を投げかける。




_@_
お前がお怒りなのはよくわかったけど
_@_
あなたにダンスレッスンしてあげてよ
…!
_@_
ダンス?
_@_
…まさか踊ったのか、あなた
……はい、




踊った__要するに、男女で体を密着させた。
 
怖々とユンギ様の顔色を伺うと、


怒っているのか呆れているのか

なんとも分からない暗い表情で。




_@_
_@_
…あぁ
_@_
いいぞ
…!
_@_
レッスンはしてやる…俺がな?
_@_
ただし
もう
二度と
_@_
ジニヒョンとは踊らせない
_@_
何でお前が決めるんだよ!
_@_
俺があなたの父親だからですよ
_@_
それ以外に理由がありますか?
_@_
理由というか不満が、…っ
_@_
じゃあもう帰るぞあなた
話はこれで終わりだ





ユンギ様は私を抱えたまま屋敷の玄関へと向かい、

怒った大公には目もくれず出ていった。




























時折揺れる馬車の中、

ユンギ様は顔を顰めたまま頬杖をつく。
 
私は膝の上で手を握って俯いていた。




_@_
_@_
あなた
は、はい、っ
_@_
…お前のしたいことは
出来る限りさせてやる
_@_
だけどな、言うことは聞けよ?
っ…ごめんなさい
_@_
相手がジニヒョンだから
良かったものの
_@_
お前は少し前まで自分が
どんな扱いをされていたか忘れるな
ッ…
_@_
…ごめんな、嫌だろうけど
_@_
お前の宝石を欲しがる人間が
あの場に何人いたと思う




ユンギ様が仰ることは、何一つ間違っていない。
 
全部正しい
 
だから辛い




_@_
そばに居れば守ってやれるさ
_@_
でも離れていたんじゃそれは出来ない
_@_
また…宝石のために
泣かされるのは嫌だろ?
っ…いや、です、
嫌です…っごめんなさい、っ
ごめんなさい…ッごめんなさい、ユンギ様
_@_
ㅎ…ほらもう、泣くなよ




ユンギ様は私の隣に座り直して、

優しく頭を撫でてくださる。
 
馬車の床にいくつかの宝石が転がり、

カラカラと音を立てながら散らばった。




_@_
怒ってごめんな、
もう言わないから大丈夫
_@_
お前がいい子なのは
よく知ってるよ
ゆんぎさま……っ




彼は私の頭を自分の胸に凭れ掛けさせるように

そっと胸に抱き寄せて。







___ユンギが父親になって良かったと思う?




さっきは大公にああ聞かれて

「はい」と答えたけれど、
 
むしろユンギ様じゃなかったら

この感情になんてなれなかったはず。







💭 ユンギ様……




えぇ、貴方の娘になれて幸せです。

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