「これから、緊急集会を行います。」
「体育館に移動してください。」
急にそんな放送が流れた。
そして、みんな移動して全校生徒が体育館に集まった。
何この気持ち悪い空気……
一気に緊張が走る。
私の制服のポケットには呪符やら数珠やら調伏道具が入ってる。いつでも退治できる。
心菜は震えている。
この禍々しい妖気を感じ取ったんだろう。
そんな心菜を瑠郁くんが支えてくれている。
瑠郁くんには一応呪符を持たせたから安心だ。
ちなみに瑠郁くんは私の家が寺ということだけ知っている。まぁ、寺じゃないんだけどね。仮の家業なんだけど。
だから、呪符を渡しても平気なの。
校内には数人式神を配置しておいた。
何かあってもこの式神達が何とかしてくれるだろう。
色々考え事をしていたら急に「ドドン」と太鼓の音がした。
それと同時に先生たちが縛られた状態で出てきた。
それを見た瞬間、生徒たちの悲鳴が上がった。
そして、1人の男が出てきた。
やつが出てきた瞬間、ものすごい霊力を感じ、鳥肌が立った。
数人の生徒が声を荒らげ、体育館から出ようとした。
ダメだって!こいつは強い力を持っている!
下手に動いたら、殺されるかもしれないでしょ!?
そう心の中で叫んだ。
やつのその言葉で空気が凍りついた。
生徒の中には放心状態の子もいるし、泣き出す子もいるし、友達と抱き合って震えている子もいた。
どうしようと考えていると、次にやつは衝撃的なことを言った。
はぁ!?こいつ、何言ってんのよ!?
そうコソコソと心菜と話していたら、
バ、バレた………ヤバいっ!
でも、私たちには悪魔に見えないように結界が張ってあるから………
大丈夫、大丈夫、バレてない………
一体誰に言ってるんだろうと思っていたら、目の前にやつが来た。
思わず顔を上げてしまった。
私は驚きすぎて思わず言い返してしまった。
2人は焦っていた。
どうしよう…………私まだ15歳になったばかりなのに結婚なんて………!
そう考えてたら、
宙が私の手を引っ張って走り出した。
やつは私たちの前に立ち塞がった。
みんなはこう言ってる。でも、私がこの契約を承諾しなければ、みんなの命が危険にさらされる………。
100人以上の人が死ぬより、私だけが苦しい思いをすれば………
心菜が隣で号泣し始めたけど気にしなかった。
隣に矢上くんがいるからね!
それより、私はやつに言いたいことがあった………
その後、私たちはクラス事に教室に帰された。教室は広い空間に変わっており、1人ひとつずつベットまであった。食事は1日3食。
教室にはお菓子もある。
廊下は特にかわっておらず、トイレに行くのも校舎内を歩き回るのも自由だった。
空き教室には男女別の風呂まで用意されていた。インターネットも使える。ただ、スマホやパソコンで電話やメール、投稿などはできなくなっていた。
先生たちはどうやら眠らされているらしい。
夜
心菜はちょっと複雑な思いだった。
心配そうに見つめる宙に私は笑顔で言う。
そう言って宙は教室に戻っていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。