第3話

その男は……
163
2020/02/02 12:47
「これから、緊急集会を行います。」
「体育館に移動してください。」
急にそんな放送が流れた。
そして、みんな移動して全校生徒が体育館に集まった。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
……………
何この気持ち悪い空気……
一気に緊張が走る。
私の制服のポケットには呪符やら数珠やら調伏道具が入ってる。いつでも退治できる。
伊藤 心菜
伊藤 心菜
……………
心菜は震えている。
この禍々しい妖気を感じ取ったんだろう。
そんな心菜を瑠郁くんが支えてくれている。
瑠郁くんには一応呪符を持たせたから安心だ。
ちなみに瑠郁くんは私の家が寺ということだけ知っている。まぁ、寺じゃないんだけどね。仮の家業なんだけど。
だから、呪符を渡しても平気なの。
校内には数人式神を配置しておいた。
何かあってもこの式神達が何とかしてくれるだろう。
帰東 宙
帰東 宙
……………
色々考え事をしていたら急に「ドドン」と太鼓の音がした。
それと同時に先生たちが縛られた状態で出てきた。
それを見た瞬間、生徒たちの悲鳴が上がった。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
っ…………!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
せ、先生たちが………
矢上 瑠郁
矢上 瑠郁
一体どういうことなんだ……!
帰東 宙
帰東 宙
……………
そして、1人の男が出てきた。
ルシファー
ルシファー
いい気味だな(笑)
やつが出てきた瞬間、ものすごい霊力を感じ、鳥肌が立った。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
っ………!
帰東 宙
帰東 宙
っ………!
ルシファー
ルシファー
うん、やはりここに来て正解だった…
ルシファー
ルシファー
お前たちには俺が目的を果たすまで、人質になってもらう。
生徒
な、何言ってんだよ………!
生徒
頭、おかしいんじゃないの……!?
数人の生徒が声を荒らげ、体育館から出ようとした。
ダメだって!こいつは強い力を持っている!
下手に動いたら、殺されるかもしれないでしょ!?
そう心の中で叫んだ。
ルシファー
ルシファー
ごちゃごちゃとうるせぇ!
俺様に逆らうんじゃねぇぞ。
逆らったら、1人ずつ体をひきちぎり、骨をしゃぶってやる……
やつのその言葉で空気が凍りついた。
生徒の中には放心状態の子もいるし、泣き出す子もいるし、友達と抱き合って震えている子もいた。
どうしようと考えていると、次にやつは衝撃的なことを言った。
ルシファー
ルシファー
よし、この中で嫁を娶ろう。
はぁ!?こいつ、何言ってんのよ!?
伊藤 心菜
伊藤 心菜
((コソッ ま、舞琴…………
逃げた方がいいよ……!
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
((コソッ 何言ってんの……!守らなきゃ!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
((コソッ 舞琴が1番危ないのっ!
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
((コソッ 心菜………
そうコソコソと心菜と話していたら、
ルシファー
ルシファー
何をコソコソしておる。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
!!!
バ、バレた………ヤバいっ!
でも、私たちには悪魔に見えないように結界が張ってあるから………
ルシファー
ルシファー
おい、そこの女……
大丈夫、大丈夫、バレてない………
ルシファー
ルシファー
茶髪の女!この俺を無視するのかっ!
一体誰に言ってるんだろうと思っていたら、目の前にやつが来た。
ルシファー
ルシファー
おい……
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
え…………
ルシファー
ルシファー
お前だよ
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
わ、私っ!?
思わず顔を上げてしまった。
ルシファー
ルシファー
ほぅ………
なかなか良い面しておるではないか。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
…………!?
ルシファー
ルシファー
よし………お前を俺の妻にしてやる。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
……………は?
帰東 宙
帰東 宙
…………!
ルシファー
ルシファー
喜べ!
さぁ、我が妻よ
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
な、何言ってんの!?
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
あんたの妻なんて死んでもお断りよ!
私は驚きすぎて思わず言い返してしまった。
ルシファー
ルシファー
ほぅ、私に逆らうのか………
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
っ……………!
ルシファー
ルシファー
良い………気に入った!
ルシファー
ルシファー
尚更嫁にしたくなった!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
舞琴………!
矢上 瑠郁
矢上 瑠郁
西園寺さん………!
2人は焦っていた。
どうしよう…………私まだ15歳になったばかりなのに結婚なんて………!
そう考えてたら、
帰東 宙
帰東 宙
舞琴、来いっ!
宙が私の手を引っ張って走り出した。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
宙っ!
ルシファー
ルシファー
ほぅ……、逃げる気か
やつは私たちの前に立ち塞がった。
帰東 宙
帰東 宙
チッ………
ルシファー
ルシファー
その男はお前の男か……?
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
ち、ちが………っ!
ルシファー
ルシファー
まぁ良い。男がいようがいまいかお前は俺の妻となる!
そうだ、俺とお前が結ばれる時、そばにその男をおいてやろう(笑)面白くなりそうだ……!
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
っ…………
帰東 宙
帰東 宙
舞琴っ……………!
ルシファー
ルシファー
そんなに嫌か(笑)
では、契約をしよう
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
け、契約?
ルシファー
ルシファー
あぁ、契約
ルシファー
ルシファー
お前が俺の嫁になれば、他の者たちには手を出さないと約束する。しかし、解放はしない。
まぁ、この契約は俺の目的が果たされるまでだけどな。
ルシファー
ルシファー
もしこの契約を破れば………
わかっておるだろうなぁ(笑)?
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
……………
帰東 宙
帰東 宙
舞琴、無理しなくていい………!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
舞琴ダメっ………!
矢上 瑠郁
矢上 瑠郁
西園寺さんっ………!
みんなはこう言ってる。でも、私がこの契約を承諾しなければ、みんなの命が危険にさらされる………。
100人以上の人が死ぬより、私だけが苦しい思いをすれば………
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
………わかった
帰東 宙
帰東 宙
舞琴!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
舞琴っ…………(泣)
矢上 瑠郁
矢上 瑠郁
あ、心菜!
心菜が隣で号泣し始めたけど気にしなかった。
隣に矢上くんがいるからね!
それより、私はやつに言いたいことがあった………
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
そのかわり、私がこれから言うことも聞いてくれる?
ルシファー
ルシファー
あぁ、言ってみろ(笑)
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
まず、用がない時はずっとみんなといさせて。用がある時だけ私を呼んで。
ルシファー
ルシファー
あぁ、良いだろう!
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
あと、あなたの目的を果たすまで私たちを人質としてとるのなら、解放する日まで何不自由ない暮らしを提供して。
ルシファー
ルシファー
そんなのお易い御用だ(笑)
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
なら、契約成立ね
その後、私たちはクラス事に教室に帰された。教室は広い空間に変わっており、1人ひとつずつベットまであった。食事は1日3食。
教室にはお菓子もある。
廊下は特にかわっておらず、トイレに行くのも校舎内を歩き回るのも自由だった。
空き教室には男女別の風呂まで用意されていた。インターネットも使える。ただ、スマホやパソコンで電話やメール、投稿などはできなくなっていた。
先生たちはどうやら眠らされているらしい。
伊藤 心菜
伊藤 心菜
舞琴あの男に喰われるのかな…(泣)
矢上 瑠郁
矢上 瑠郁
大丈夫だよ!なんたって、西園寺さんの家は寺だし!
伊藤 心菜
伊藤 心菜
う、うん………
心菜はちょっと複雑な思いだった。
ルシファー
ルシファー
やっと来たな、我が妻よ
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
……………
ルシファー
ルシファー
あの男も一緒か
帰東 宙
帰東 宙
……………
ルシファー
ルシファー
なら良い(笑)
自分の女がくわれるところを見てどんな反応をするか楽しみだなぁ(笑)
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
………彼は私の男ではない
ルシファー
ルシファー
おぉ、そうだったのか
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
だから、彼をそばに置かなくてもいいだろ?彼は帰す。
ルシファー
ルシファー
………まぁ、良いだろう
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
というわけで、宙帰って
帰東 宙
帰東 宙
舞琴!
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
私もあとから行く。だから、先に教室に帰ってて!
心配そうに見つめる宙に私は笑顔で言う。
西園寺 舞琴
西園寺 舞琴
私は大丈夫!
帰東 宙
帰東 宙
………死ぬなよ
そう言って宙は教室に戻っていった。

プリ小説オーディオドラマ