侑:つまりあなたは小さい頃から母親に虐待されとったんか…?
飯綱:……そういう事
角名:通報とかしなかったんですか?
飯綱:あなたが頑なに嫌がったんだ。迷惑掛けたくないから,お願いだから通報はしないでくれって
こんな酷い事をされながらも
母親に迷惑掛けたくないから言うて
通報させないのはあなたらしかった
治:俺,あなたの元彼です
飯綱:…….…ええ!?
治:去年同じクラスで付き合ってたんですけど,特に見えるような所に痣はありませんでした
飯綱:そ,そうか……
侑:俺も今同じクラスなんやけど,同じく見えるような所に痣があったことはなかったですよ
やけどそれはあくまで
" 見えるような所にはない "という話や
飯綱:……君達はあなたの家庭環境について何か聞かされてた?
治:少しだけ。お母さんが夜の仕事で家に帰ってこん事と,お父さんは離婚して今いないことは知ってました
飯綱:………そうか
やけど虐待されていたと知ってしまった以上
今は大丈夫なのか,今後大丈夫なのかって
心配が出来てしまった
飯綱:彼奴は何でも笑って誤魔化す
侑:え?
飯綱:あんまり本心を口に出したくない奴だ。だから自分の本当の気持ちを中々言い出せない
そうや
やから何でサムと別れたのかも
未だにわからずじまいなんや
飯綱:俺は今,あなたの傍にいてやる事は出来ない。だから
" あなたの事を助けてやって欲しい "
あなたの幼なじみである其奴は
俺達に向かって深々と頭を下げた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。