結月:あなた帰ろ!
あなた:ごめん,今日図書室て課題やってから帰る!
結月:ほんま?ほな先帰るなぁ!
あなた:うん,また明日ね!
今日は結構課題が出ていたから
図書室でやってから帰ろうと思い結月と別れた
『 こっちこっちー! 』
『 ナイッシュー! 』
静まり返った図書室に
部活動をやっている生徒の声が聞こえてくる
侑くん達も今頃部活頑張ってるのかな?
最近____侑くんの事を考える時間が増えた気がする
あなた:よし,終わり!
19時頃
あたしはようやく課題を終えた
辺りはもう真っ暗だった
あなた:え,嘘……雨……?
暗くてよくわからなかったが
靴箱まで来ていざ帰ろうとすると
雨が降り出していることに気付いた
あなた:どうしよう……傘持ってないや……
かと言って迎えを呼ぶことは出来ない
あたしは仕方がないから濡れて帰ろうと思い
ローファーを履いて自分の鞄を持ち上げた
『 傘ないん? 』
あなた:え………?
侑:傘ないんか?
あなた:あ,う,うん……
声がして顔を上げると
そこには傘を持った侑くんがいた
侑:今まで残っとったん?
あなた:あ,うん……課題やってて
侑:そうなんや,お疲れさん
あなた:あ,侑くんもお疲れ様!
侑:おん,おおきに。んで,傘ないんやろ?
侑くんはそう言って傘を広げ
あたしの方に向けた
あなた:え?
侑:送ったるから入り
あなた:え……!?だ,大丈夫だよ…!
侑:大丈夫やあらへんやろ?濡れてまうで
あなた:けど部活で疲れてる人にそんな事……
侑:ええから,あなたが一人で濡れて帰る方が心配で眠れんくなってまうわ
あなた:え………?
侑くんはそう言ってあたしの手を引くと
自分の傘の中にあたしを入れた
" 帰ろか "
そう言って侑くんはゆっくりと歩き出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。