担任:えーこれからこの前の小テストの採点を隣の席の人としてもらう
新学期が始まって数週間が経った
数回目の英語の授業で小テストがあって
それの採点を隣の席の奴とするらしい
俺の隣の席は______
あなた:えと………お願いします
侑:おん。よろしゅう
例のサムと角名が見とったあの子やった
別に興味もあらへんから
あれから特に話す事も気にする事もなかった
侑:ん
あなた:あ,ありがとうございます…
俺は回ってきた自分のプリントを其奴に渡した
此奴は俺のファンの雌豚共みたいに
嬉しがってプリントを受け取ることは無く
寧ろ怖がるような,怯えたように受け取った
侑:( 此奴は俺のファンではなさそうやな )
俺も其奴からプリントを受け取った
綺麗な字で書かれた" 船水あなた "の文字
俺はそこで初めて名前を知った
侑:( ほぼほぼ正解やん )
採点を進めていくと殆ど丸やった
点数は96点で頭のええ奴なんやと思った
あなた:………
侑:?
視線を感じて隣を向くと
其奴は何かを言いたそうに俺の方を見ていた
侑:なんや?
あなた:………!あ,の………
視線に気付いた俺が問い掛けると
其奴は驚き,そして口篭った
あなた:あの………
侑:?
あなた:これ……n と m どっちですか……?
侑:は?
俺は其奴の持っとる自分の答案用紙を見た
n なのか m なのか
確かにわからんような汚い字が書いてあった
侑:それ m やで
あなた:……!そ,そっか!ごめんね…!
侑:いーや。汚い字で悪かったな
あなた:え………?
俺が其奴に謝ると
やけに驚いたような顔をされた
侑:これから綺麗な字頑張って書いてみるわ
あなた:え………?
侑:せやからまたよろしゅうな
俺は採点し終わった其奴のプリントを
渡しながらそう言った
あなた:う,うん……よろしくね……!
侑:………!
答案用紙を受け取る時に匂った
花のような良い香りと優しく微笑む顔に
少しだけ______胸が高鳴った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。