『 ありがとうございました! 』
花火大会の日以来侑くんとは会っていない
もちろん治くんとも会っていない
侑くんからは毎日連絡が来ている
会いたいな____なんて思っている自分がいた
あなた:いらっしゃいませ〜……って……!
侑:よっ
あなた:侑くん……!
いつものようにバイトをしていると
部活を終えた帰りであろう侑くんが
またお店に来てくれた
あなた:練習帰り?
侑:おん
あなた:お疲れ様!
侑:ありがとなぁ
2週間も経っていないのに何処か懐かしい笑顔
侑くんに会えて______嬉しかった
あなた:今日は何にする?
侑:あなたのオススメで
あなた:今日の気分は抹茶かな!
侑:オススメっちゅーかあなたの気分になっとるやん( 笑 )
あなた:バレた?( 笑 )
侑:ほな,あなたが勧めるなら抹茶にするわ
あなた:かしこまりました!
あたしが勧めた抹茶のフラペチーノをレジで打ち
レシートを侑くんに手渡した
あなた:ありがとうございました!
侑:あのさ
あなた:?
侑:話したいことあって来たんよ
あなた:え?そうなの…?
侑:おん。やから待っててええか?
あなた:う,うん!わかった!
侑くんは微笑んで受け取り口へ向かった
バイトが終わるまで後30分くらい
話したいことってなんだろう______?
あなた:ごめんね,お待たせしました!
侑:おん,お疲れさん
あなた:ありがとう!
侑くんは空いていた店内に座って待っていた
侑くんを知っている人も知らない人も
侑くんの姿を見てチラチラ見ているのがわかった
侑:送るから帰りながら話そうや
あなた:うん!
あたしと侑くんはお店を出て帰宅路についた
あなた:侑くん,話したいことって……?
侑:あ,そうそう
『 明後日から東京で合宿なんやけど
合宿中だけ手伝いに来てくれへん? 』
あなた:え,手伝いってバレー部の…?
侑:せや
あなた:………ええええ!?あたしが!?
そう言えばマネージャーいなかったっけ
そう思いながらも侑くんに手伝いに誘われた事に
あたしは大袈裟に驚いてしまっていた
侑:合同合宿なんやけど相手校にもマネおらんらしくて
あなた:そ,それは部員の負担がすごいよね……
侑:せやねん。やから合宿中だけでも手伝いに来てくれそうな奴おらんかって監督が聞いてきてさ
あなた:それであたしに?
侑:そういう事や
部員の負担が増えて大変なのはわかるけど
どうしてあたしに______?
侑:……どうやろか
あなた:え?
侑:やってくれたりせぇへん?
首を傾げてそんな事言われたら
______断れない
あなた:えっと……役に立つかわからないけど……
侑:ええよ。人手があるだけで助かるんや
あなた:……そしたら……やってみます
侑:!ほんまか!?
侑くんはパァァと笑顔になって
あたしの肩を掴んだ
皆の役に立てるなら,侑くんが笑顔になるなら
あたし______頑張ってみよう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。