『 お父さんとお母さん,離婚するんだって。』
俺があなたの口からそれを聞いたのは
俺が高校1年生,あなたが中学3年生の夏だった
飯綱:え……離婚……?
あなた:うん。最近正式に決まったみたい
飯綱:そう……なのか……
小学生の頃から何も状況は変わらなかった
相変わらず家に帰らないお父さん
夜の仕事をしていて夜は家に帰らず
苛立ちと疲れは全てあなたにぶつけるお母さん
そしてついに______両親は離婚を決めた
飯綱:……寂しい?
あなた:うん,少しだけ
飯綱:……そっか
あなた:……だけど
『 掌くんと会えなくなる事の方が寂しい。』
飯綱:……え……?
お父さんと会えなくなるのは分かるけど
何で俺とも会えなくなるんだよ______?
飯綱:何で……俺とも会えなくなるんだよ?
あなた:………あのね
『 4月から_____兵庫に行くことになったの。』
飯綱:兵庫………?
あなた:うん。お母さんの実家が兵庫にあるの
飯綱:そう,なのか……?
あなた:少しでも実家の近くにいたいからって,4月から兵庫に行くことになったんだ
" だから掌くんと同じ高校通えないの "
昔からずっと一緒だと思ってた
だけど____それももうすぐ終わりなのか
飯綱:あなた,合格おめでとう
あなた:ありがとう!
あなたは兵庫の" 稲荷崎高校 "に合格して
春から兵庫の高校に通うことが決定した
飯綱:……それ,またお母さん?
あなた:……うん,まぁね
あなたの身体の痣は
だんだんと見えるようなところにまで
______顔に作ってくることだって少なくなかった
飯綱:あなた
あなた:?
飯綱:俺と約束して欲しい
あなた:え……?
『 俺は何があってもあなたの味方だから
何かあったらいつでも連絡して欲しい。』
俺はあなたの手を握りながらそう言うと
あなた柔らかい笑顔で_____可愛らしく頷いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。