第58話

中学生の頃の約束。
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2020/11/29 11:27




















『 お父さんとお母さん,離婚するんだって。』






















俺があなたの口からそれを聞いたのは

俺が高校1年生,あなたが中学3年生の夏だった


















飯綱:え……離婚……?




あなた:うん。最近正式に決まったみたい




飯綱:そう……なのか……




















小学生の頃から何も状況は変わらなかった

相変わらず家に帰らないお父さん

夜の仕事をしていて夜は家に帰らず

苛立ちと疲れは全てあなたにぶつけるお母さん

そしてついに______両親は離婚を決めた






















飯綱:……寂しい?




あなた:うん,少しだけ




飯綱:……そっか




あなた:……だけど























『 掌くんと会えなくなる事の方が寂しい。』























飯綱:……え……?




















お父さんと会えなくなるのは分かるけど

何で俺とも会えなくなるんだよ______?























飯綱:何で……俺とも会えなくなるんだよ?




あなた:………あのね






















『 4月から_____兵庫に行くことになったの。』
























飯綱:兵庫………?




あなた:うん。お母さんの実家が兵庫にあるの




飯綱:そう,なのか……?




あなた:少しでも実家の近くにいたいからって,4月から兵庫に行くことになったんだ



















" だから掌くんと同じ高校通えないの "

昔からずっと一緒だと思ってた

だけど____それももうすぐ終わりなのか




































飯綱:あなた,合格おめでとう




あなた:ありがとう!





















あなたは兵庫の" 稲荷崎高校 "に合格して

春から兵庫の高校に通うことが決定した





















飯綱:……それ,またお母さん?




あなた:……うん,まぁね




















あなたの身体の痣は

だんだんと見えるようなところにまで

______顔に作ってくることだって少なくなかった






















飯綱:あなた




あなた:?




飯綱:俺と約束して欲しい




あなた:え……?






















『 俺は何があってもあなたの味方だから

何かあったらいつでも連絡して欲しい。』






















俺はあなたの手を握りながらそう言うと

あなた柔らかい笑顔で_____可愛らしく頷いた。











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