治:………
角名:?どうしたの治?お腹すいたの?
午後練が終わって着替えてる時
何故かサムがボーッとしとった
銀島:腹減ったならパン食うか?
治:………いや,腹は減っとるけどちゃう
角名:?じゃあどうしたの?
治:……あなた,飯食うたかなぁ思って
侑:え?
サムはワイシャツのボタンを止めながらそう言いよった
角名:?そりゃあ今頃夕飯食べてるんじゃない?
銀島:ましてや今日誕生日やん。今頃家でお祝いしてるんやないの?
治:いや,それは絶対にない
角名:え?
『 あなたの家,夜は誰もおらへんから。』
角名:夜は誰もいない……?
治:おん。やからあなたが夕飯食べない事なんてしょっちゅうやねん
侑:………それ,どういう事やねん
治:……ツムには教えとぉない
侑:何やねん!!教えや!!
俺はまたサムと取っ組み合いの喧嘩になった
しかしそれは直ぐに北さんに止められた
角名:で,夜は家に誰もいないってどういう事?
治:そのまんまの意味や。あなたの母さんは夜働いて朝帰ってくるから夜は誰もおらへん
銀島:?お父さんは?
治:……あなたはお父さんおらへんねん
侑:え?
あなたにはお父さんがいない______?
角名:離婚?
治:あなたが高校上がる前にな
侑:………!
あなたが兵庫( コッチ )に来た理由って
もしかして親の離婚やったんか______?
治:まぁ,あなたの家庭は複雑やったから離婚前もお父さんとは殆ど一緒に生活はしてなかったみたいやけどな
角名:そうだったんだ……
銀島:なんかそういうのって普段の船水見てても気付かんもんよな
家庭環境が複雑
親は離婚して母親と一緒に生活
母親は夜の仕事をしとって夜家に帰らない
あなたはこんな事も抱えとったんか____
角名:そんなに心配ならさ
侑:?
『 今から船水さんの家行ってみる? 』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!