私たちが今いるのはこじんまりとしたカフェ。
ガチで何しに来たねん
奢ってくれると言われて気分良くならない人なんていないでしょ
今更そんなこと言うなし
はぁ、と溜息を零し、頬をかきながらにろ先輩は気まずそうに視線を落とした
なんやねん、用事ないなら帰らせろっての
『あぁもう!!』と叫びながら頭を掻きむしるにろ先輩
そうしたいのはこっちなんですが。
情緒不安定なのか?この人
生意気野郎はにろ先輩じゃん。私野郎じゃないし。
声のトーンをかえ、突然そんな真面目な質問をされた
酷い言われようだな.......
ゴホン、と咳払いをし、再び私に問いかけた
行きたいかどうか、か。
確かに、私の中でこの場所は大切になりつつある。
けれど、全国行きたいだとか、そんな大きな目標を掲げたことなんてないから、私にはまだ分からない
だけど……………
こうしてにろ先輩と真面目な話をすることはほとんどないから、なんだかむず痒い
にろ先輩の返事を待っていると、彼がふっと笑った
まぁ、選手たちは全国行くために頑張ってるわけだしあたりまえなんじゃ.....
そう思って首を傾げていると、注文していた品が届いた
特に何も発することなく、にろ先輩はコーヒーを啜る。
私も飲もうとカップに手を触れた。
なんのことか、とにろ先輩の顔を見つめると
いつもの彼には似つかない程に、
真剣な表情をしていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!