いよいよ試合が始まり、点を取って取られを繰り返す
そして3ー2となったこの場面で……
オレンジ君の、見たこともない早い速攻
ボールが落ちた瞬間、会場が一瞬静まり返る
けれどすぐ盛り上がった
確かに、オレンジ君は“ここに来る”ってわかって飛んでいた感じがする
まぐれにしては、出来すぎていた気もするけど……
オレンジ君のサーブはミスで終わり、
続いてまた彼の速攻があったけれど、今度は普通のトスだった
やっぱ、まぐれだったのかな
コーチによれば、影山という人はスパイカーを置き去りにするようなトスを中学の時によくあげていたという
じゃあやっぱ、まぐれじゃなくて意図的に……?
今はまだ分からない。
だから試合の経過を見守る。
そうしたらまた、オレンジ君はあの早いトスを打ってみせた
たまらずこちらはタイムアウトを取った
コートの外から、オレンジ君を観察してた
それでひとつ、気になることがあった
もしも私の見間違えじゃないならば……
ボトルの蓋を、クイッと開けながらあっけらかんとそういった
いや軽すぎないかな……
茂庭先輩の合図で、青根先輩が2人の間に割って入った
さすがだな、青根先輩
会場全体が、10番に注目を集めている気がする
なんだかそれが嫌な感じがして、
本当にただ、オレンジ君を止めれば良いのかと
烏野の思うつぼになっていないかと
そう思った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!