第59話

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2022/07/27 12:56





楠木 あなた
パワハラだ 帰って寝たい 帰らせろ
二口 堅治
五七五やめろ



試合あった日に買い物に付き合わされる私




やっぱパワハラとしか思えないしこの人の体力意味わからん





楠木 あなた
というかなんで私なんですか、青根先輩とかの方が良くないですか
二口 堅治
んまぁあいつらは試合で疲れてるし明日もあんだから休ませてやらねぇとだろ
楠木 あなた
私も疲れた
二口 堅治
お前は観客席から応援してただけじゃん
楠木 あなた
何その言い方...
楠木 あなた
私だけ仲間外れみたいじゃん
二口 堅治
なに、拗ねてんの?
楠木 あなた
べっつににろ先輩に何か言われたぐらいで拗ねません勘違いすんな
二口 堅治
はいはい笑
楠木 あなた
笑うな
二口 堅治
手厳しいな



私は応援してただけで疲れたわけない、みたいな感じで言われると、私だけバレー部の仲間じゃないみたいに感じる




ふんだ、にろ先輩なんて知らないし




二口 堅治
安心しろ、ちゃんとお前の声届いてた
二口 堅治
そのおかげで頑張れたよ




そう言いながら、横に並ぶにろ先輩は手を伸ばし、私の頭に乗せた




楠木 あなた
にろ先輩の分際で触んな
二口 堅治
空気読めや
楠木 あなた
セクハラで訴えるぞ
二口 堅治
マジうぜぇんだけど



はぁ、と溜息を零しながら私の頭から手をおろした。




先程まであった温もりが離れていって、何となく寂しいななんて思ってみたり。




そっと自分の頭に触れると、先程の感触を思い出して自然と頬が緩んだ気がした。





二口 堅治
.......あのさ




2人並んで歩いていたら、突然にろ先輩が足を止めた。




少し後ろにいるにろ先輩の方へと体を向けると、




彼はジャージのポケットに両手を突っ込み、真っ直ぐ私方を見ている。




不思議に思って首を傾げると、暗がりの中電灯に照らされたにろ先輩は、真剣な顔をしていた。





二口 堅治
俺、嫌なことは後に回すタイプだけどこれに関しては逃げたくねぇ
二口 堅治
俺のタイミングでちゃんと向き合うから
楠木 あなた
.....何の話ですか?
二口 堅治
いいや、こっちの話




なんだろうかと気になっている私を傍目に、にろ先輩は歩き出した




二口 堅治
置いてくぞ、早く来い
楠木 あなた
自分勝手すぎません?



『なんとでも言え~』と言いながら手をひらひらと振るにろ先輩に小走りで駆け寄り、また隣に並んで歩く。




横目でにろ先輩の顔を見てみると、清々しい顔をしていたような気がした。




そしてどうしてなのか分からないけれど、




そんなにろ先輩の顔を見て、なんだか嬉しくなった。





_@_
もどかしい恋とか大好物
_@_
もどかしすぎんのは嫌だけどね




_@_
新作です



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