╴ユキナリ side ╴
あなたさんの様子が気になって教室に来てみると、
なんだか机を見てボーッとしていた。
ユキナリ「あなたさん」
僕がそう声をかけると、此方に気が付いたようだ。
『…ユキナリくんか。探索してるの?』
ユキナリ「いや…あなたさんがさっき具合悪そうだったから…つい…」
すると、あなたさんはフッと目を細めて笑った。
ユキナリ「…(そんな顔もするんだ…)」
『…ありがとう、ユキナリくん』
あなたさんにコウさんが心配していた事を伝えると、目を丸くして驚かれて、更には僕が心配された。
いつもどんな対応してるんだ、コウさん…
あなたさんは先程とは打って変わって、下の階にいた時のような笑い声を上げていた。
『あははは!うそうそ、ゴメンって!』
怒った?と笑って聞いてくるその姿は、あなたさんの幼さを移していた。
それから少しコウさんの話(ほぼイジり)をした後、あなたさんが近くにあったイスに腰をかけた。
『ねえユキナリくん』
あなたさんの緑がかった黒色の瞳が僕を真っ直ぐ見つめる。
『…世界で一番怖いものって何だと思う?』
そう問われた時、理解するのに時間がかかった。
ユキナリ「怖いもの…?」
『そう。ユキナリくんにとっての、世界で一番怖いもの。』
僕にとっての、…
ユキナリ「…ちょっとよく分かんない、かな…」
するとあなたさんは『そっか』と笑って、イスを揺らした。
ユキナリ「…じゃあ、あなたさんの一番怖いものって何ですか…?」
『…人、かな』
ユキナリ「人…?」
『うん。一番信頼できるのも人だし、一緒にバレーするのも人。でも、人は世界で一番怖いと思うんだ』
ユキナリ「…」
『人間ってさ』
あなたさんは、花瓶の花を見つめている。
『花みたいに綺麗に華麗には咲けないよね』
そうぽつりと言い残して、あなたさんは教室を出て行ってしまった。
ユキナリ「…世界で一番怖いのは、人、か…」
あなたさんは、一体何を抱えて、何を考えてるんだろう。
このただ一つの疑問は、花瓶の花の香りにかき消されていった。
╴ユキナリ sideend ╴
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今回ちょっと短くてすいません☹️
キリが良かったので、ここで切りました。
部活始まる前に、運動をしなくては…😹😹
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。