目覚めるとそこは知らない場所で
近くには司が横たわっていた。
不意に上を見あげると、壁に紙が貼られていた。
私はその紙を指さし、
そこに書かれた文章を読み上げる。
〈10秒間ハグをしないと出られない部屋〉
あなたは司の言葉に耳を傾けず、
必死に壁を叩いている。
あれから結構な時間が経ってしまったし…
仕方がない……うん。仕方がないんだ
司は私の後ろから飛びついてハグをする。
私の骨が折れそうだと悲鳴を上げている。
なんとか司は力を緩めてくれた。
というか、10秒長くない、?
そして5秒後、カチャッと音が聞こえたと思ったら
最初にはなかったはずの扉ができていた。
そして当分の間あなたは司に
バックハグされたままだったらしい…


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!