風が少し強くて、制服の裾がひらひらと踊る。
放課後の空は夕焼けに染まり、
校舎の影が屋上のコンクリートに長く伸びていた。
司くんはフェンスにもたれ、
こちらを見ようとはしなかった。
胸の奥がざわつく。
こんなに近くにいるのに、距離がある気がした。
夕日が彼の横顔を照らしていて、
まるで別人みたいだった。
私の喉が、少しだけ詰まる。
いつの間にか目の前に居た司くん。
司くんの顔と私の顔が近い。
そして彼の人差し指が、私の唇に触れる。
そう言っていたずらっ子っぽい彼の笑顔を見て、
顔が暑くなっているのを感じる。
風の音だけが、屋上に流れる。
彼の髪がふわりと舞って、
まるで時間が止まったみたいだった。
そう言うと、彼はそっと近づいて、
片足を床につき、私の手を取った。
そして手の甲にキスをすると、私の方を見あげて、
いつもの笑顔でそう言う司くん。
夕焼けの中、二人の影が重なって、
ようやくひとつになった。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。