「……大丈夫、俺がたくさん愛してあげる」
怯えてる彼女を安心させるために言った言葉だが、
もっと彼女を不安にさせてしまったらしい。
「ごめんなさい……ごめんなさい…っ、もうやめて……っ」
ひたすら俺に謝って、泣きぐずれる彼女。
「……ごめんなさいって俺の愛がわかってんの?」
彼女の顎を掴み、
無理矢理自分の方を向かせ、
彼女と目を合わせる。
「……わかってるっ……」
目を逸らして言った彼女。
__________なんで目を逸らしたの?
「……分かってないよね」
俺が声のトーンを下げていうと、
彼女はビクッとした。
やっぱり分かってないんだ…。
「…いいよ、ここは2人だけの場所。いっぱい愛し合おうね」
「とりあえず、さっき逃げようとしたから動けないように足からいこうか?」
彼女の太ももをそっと撫でる。
何されるのか不安なのか、
彼女の顔は強ばっている。
俺は、この物置部屋の中に置いてあった、
ロープを持ってきた。
「……チェーンソーとか持ってくると思った?」
俺がロープを持った時の彼女の顔は、
少し安心したような顔をした。
まぁ、いずれチェーンソーで切り落とすことになるけど。
彼女の右足を掴み、
既に縛ってあったロープを外す。
そして、右脚のふくらはぎあたりに、
思いっきり強くロープを結びつけた。
それと同様のことを左脚にもする。
彼女は何かを察したのか、
少し抵抗し始めた。
が、もう遅い。
今度は両足をロープで、
両ふくらはぎあたりの場所を結ぶ。
「正座して」
彼女にそう命令したが、
彼女は言うことを聞かない。
「聞こえてるよね」
そう言っても彼女は反応しない。
ひたすら、俺と目を合わせないようにしてる。
「…無視、かぁ」
少しで苛立った俺は、
倒れている彼女を思いっきり蹴飛ばした。
「う゛っ……グッ…」
ちょうど蹴飛ばした場所が、
みぞおちだったらしく、
とても苦しそうにしてる彼女。
そんな彼女を無視し、
無理矢理彼女の体を起こし、
正座をさせた。
しかし、すぐ倒れそうになってしまう彼女。
考えた結果、
丁度いいサイズの箱があったから、
体の小さい彼女を、
その中に無理矢理正座させて押し込んだ。
それを、倒れないように、
部屋の角に置いておくことにした。
彼女の正座させた脚の上に、
10キロくらいの重りを、
ドンッと置いておく。
「じゃあ、そろそろ俺行くね」
「待っ……「愛してる、またね」
俺に待ってとひたすらいう彼女を無視し、
彼女の部屋を後にした。
ドアの奥からは、
『待って…行かないで』
とか弱い声が聞こえる。
あの状態で放置しておけば、
彼女の足には血が通わなくなり、
彼女の足は腐っていくだろう。
そしたら、彼女の足は機能しなくなる。
…どう足掻いても自分の意思で逃げることが出来なくなる。
そしたら、完璧2人の世界になるね。
_______________________________________
この時の俺は、
彼女の死が近づいてることに
まだ気づいていなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。