第7話

7. すれ違い
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2018/02/07 10:29


カノジョside








「いか……ないでっ」




私の声は虚しく、
遊くんに届くことなく暗闇に溶けていった。




遊くん…。




でも、この状況は自業自得だった。



一方的に愛されることに優越感を感じ、


いい気になりすぎた。





元は私の方が重かった。



遊くんの後をひたすらついて行き、


すぐ嫉妬して。





そんな私を友達が


『重い女は彼氏にフラれるよ』


と咎めてきた。






私はフラれるのが嫌で、


嫌われるのが嫌で、


少し遊くんへの愛の重さを抑え、我慢した。






そしたら、遊くんが私と変わるように重くなっていった。




正直、嬉しくて、

私は愛されてる。という感覚に浸ってた。




__________問題はここからだった。





遊くんの愛がどんどん重くなっていき、

優越感に浸っていられる状況じゃなくなっていった。





このままではまずいことになる。


そう思って、全てリセットしようとした。









遊くんに一度別れを告げ、


落ち着きを取り戻してもらおうと考えた。







でも、甘かった。





私を溺愛してる彼に別れを告げることは、

火に油を注ぐことだって、

なんで気づかなかったのだろう。







「遊…くん…」







足の感覚がなくなってくる。




このまま足に血が通わず、

数時間放置されてたら、

私はもうこの世にはいられないだろう。





_____生きていられたとしても後遺症が残る。





本当は彼を恨むべきなんだと思う。

……だけど、恨めなかった。





__________自業自得だから。


__________まだ彼を愛しているから。






もし、私が死ぬとなれば。


彼は私の最期の願いを叶えてくれるのだろうか。







叶えられない難しい願いじゃない。



__________私の名前を呼んでほしい。








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