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第1話

自転車置場にて
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2019/08/23 14:01
親友の葬式で泣けなかった。
僕はこの事実を一生ズルズルと、ひきづってこれからも続く無駄な人生を歩んでいくのか。あと何年続くのかな、この人生

突然のかかってきた、知らない番号は、親友の典将の母親からだった。電話越しのその声に、温度は感じなかった。ただ、交通事故で息子が亡くなったという事実を言葉にして読み上げてるようだった。
一瞬、言葉の意味が分からなかった。いつも一緒にいた、あいつの顔が頭に思い浮かばなかった。いざ、人が目の前で倒れると、救急車の番号が出でこないようなものと同じで、いきなりの出来事に脳が思考停止をしてしまった。なにをすればいいのか分からず、ただ、自分の自転車を見つけられずにいた。

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