テヒョナが、あなたちゃんの、。

奥歯を噛みしめる。






今まで可愛く思ってたこいつが

そうだとわかった瞬間、悪魔のように思えた。





あなたちゃんを苦しめ続けた張本人。

いいやつの化けの皮をかぶった、悪魔。







そう思えてならなかった。

嫌味なのか、皮肉なのか、

よくわからない。

僕の二の舞い、

それが何なのか、俺は詳しくわからない。





知らない、わからない、

それが人間にとっては一番恐ろしいことだ。

血管が切れるような、

それくらいの熱を感じた。






あぁ、俺今怒ってるんだ。







どんな権限があってそんな口きけるんだよ。

泣かせたのはお前の方じゃんか。

俺があの日、初めてあなたちゃんにあった日、

どんな思いで

あなたちゃんの肩を抱いてたと思うんだよ。








知るはずないよな。

そりゃそうだ。

嫌味さえも感じさせるような

優しい笑みを浮かべて

テヒョナはドアノブをゆっくりと引いた。







静かな部屋に響き渡る開閉音と同時に

俺はとんでもない焦燥感に駆られた。








何か物に当たってしまいたい。

そんなことを思いながらぐ、と拳が白くなるまで

力を入れて握った。

テヒョナとあなたちゃんの間に何があった？

ボムギュが胸ぐらをつかんで睨みつけるほどの

何か。







それは一体何だ？

ボムギュの声にハッとして顔を上げると

心配そうな顔をしたあなたちゃんとボムギュがいた。

優しく笑えばあなたちゃんは安心したようで

ボムギュと顔を見合わせて微笑んでいた。

いかにもマズそうな。

ボムギュとこんな風に楽しそうに話すあなたちゃん。

あなたちゃんのその笑顔を見てると

どうしてもテヒョナの顔が思い浮かぶ。








おんなじような顔でテヒョナとも笑ってた？

そして、その顔をテヒョナに崩された？







ボムギュが人の胸ぐらをつかんでしまうほど

憎たらしい相手がカン テヒョン。









あいつはあなたちゃんに何をしたんだ？

それを俺は教えてもらえないのか？

あなたちゃんを泣かせたら？

馬鹿か。

泣かせたのはお前だろ？テヒョナ。

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