私が睡魔に襲われてうとうとしていると
ピロリンッ🎶、ガチャ
セキュリティが解除された音が響いて扉が開くおとがした
姿は見えないけどきっとグク様が帰ってきたのだろう
人間、止めろとか出るなと禁止されると
それを犯したくなる生き物で、まんまと私もその一人だった
うっすら扉を開いて様子を伺う
足音も止まり、話し声もしない
どうやら一人らしい
再び足音が聞こえて、私は慌てて扉を閉めた
しばらくすると“ドンッ”と大きい音が響いて足音もしなくなった
私はまた同じようにうっすら扉を開いてみると
大理石のフローリングに倒れているグク様を見て
慌てて部屋から飛び出した
私が近寄るとほのかに香るお酒の臭い
何となくだけど毎回たくさんお酒を飲ませれては
帰ってきて今みたいに倒れているんだろうな
グク様はきっと断れないんだ
私が独り言を呟くと、うっすらと目を開くグク様
強く腕を引かれてグク様の胸に飛び込む形になってしまった
匂いも、暖かさも、鼓動も…
グク様の全てが伝わってきてぎゅっと目を瞑る
するとぐるッと視界が反転して私の視界に広がったのは
グク様の顔と天井だった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。