グク様は私に顔を近づけると
鋭い眼光で私をそのきれいな瞳に映して
親指で私の唇をなぞる
言い返す気力もないほどの圧力
私は未だに痺れる足を引きずりながから
キッチンへと足を運んだ
グク様はご自分のお部屋に戻られたようで
姿はなかった
私はあの人を言ってしまえば
甘く見ていたのかもしれない
かなりの要注意人物だ
先が見えない不安と
ほんの少しだけ辞めたいと思ってしまった自分がいて
それを掻き消すかのようにして包丁を握った
作り終えてグク様の部屋の扉をノックする
コンッコンッ
中から返事が聞こえなくてもうノックする
コンッコンッ
寝ているのかな?
三度めの正直と言わんばかりにノックすると
乱暴に開かれたドア
席に座るグク様
席に座るも食べる様子がなく
もしかして嫌いだったのかな…?
ちょっと自分勝手にもほどがある
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。