第37話

相合傘
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2021/12/01 07:38

姫星「雨だ」


春「最悪」


結真「...」


結夢「雨、」


放課後、4人で帰ろうと昇降口を出たら雨がザーザー降っていた。


今日の予報は雨だったけど、こんなに降ると思わなかった。


雨の中走って行く人もいれば、傘を2人で指す人もいる。


春「俺傘無いんだけどー!」


高梨くんが空に向かって叫んだ。


姫星「私持ってるー」


姫星が自慢するように高梨くんに傘を見せた。


姫星の可愛い折りたたみ傘。


春「うわ、マウント!」


姫星「はいはい、行こー!」


姫星が傘を開いて外に出る。


春「入れてよ!俺風邪ひいちゃうじゃん」


高梨くんが姫星の傘の中に入る。


姫星「あはは!」


春「ちょっと狭いんだけど」


姫星「文句言うな」


2人が楽しそうに歩いて行く。


白狼くんは傘を持っているだろうか。


私はビニール傘を開いて外に出た。


結夢「白狼くん、行こ」


後ろを振り返ると、白狼くんが私の傘の中に入ってきた。


白狼くんは私から傘を取って、持ってくれた。


結夢「傘忘れたの?」


白狼くんはクールな顔で首を横に振る。


私の頭にはてなマークが浮かぶ。


持っているのになんで。


結真「2人で傘さしたいって顔してたから」


白狼くんは私のほっぺを片手でむにっとして笑った。


結夢「そんな顔してない、」


私は恥ずかしくなってぱっと目を逸らす。


結真「顔赤いぞ」


白狼くんは私の顔をのぞきこんで言った。


結夢「うるさいうるさい」


私はほっぺに手を当てて少し早く歩く。


結真「濡れる」


白狼くんは私のリュックをぐいっと引っ張ってから、肩に手を回した。


こんな恥ずかしいこと、サラッとできちゃう白狼くんはずるい。


私ばっかりドキドキしてる。


結夢「ずるい」


結真「あ?」


白狼くんは不良みたいに聞き返す。


結夢「ふふ」


私はおもしろくて笑う。


結真「んだよ、全然聞こえねえ」


雨の音に負けじと私は大きめの声で話す。


結夢「白狼くんはずるい!」


白狼くんはあからさまに嫌な顔をしている。


結真「は?なにがだよ」


結夢「私ばっかりドキドキしてる」


白狼くんは少し黙ってから私を見た。


結真「お前からキスしてきたら、俺はドキドキするんじゃね?」


白狼くんはニヤッと笑った。


できるならやってみろって顔。


結夢「できるわけないじゃん」


結真「じゃあ俺はお前にドキドキしない」


なにそれ。


いつも余裕そうな白狼くんの顔を赤くしてみたい。


私は白狼くんのネクタイをぐいっと引っ張る。


白狼くんの顔を私に近づける。


私はそのまま白狼くんのほっぺにキスをする。


口にはできないけど、ほっぺなら。


結夢「ドキドキした?」


私は照れ笑いをしながら白狼くんの顔をのぞき込む。


白狼くんは私がキスした頬に手を当てながらそっぽを向いた。


これは照れてるな。


私はニシシと笑う。


結真「何笑ってんだバカ」


白狼くんは私の頭を優しくポンとする。


白狼くんのこと、もっとドキドキさせてやる。

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