結真「俺らこれからは2人で飯食うから」
お昼休み、私の教室に来た白狼くんが姫星と高梨くんに言った。
姫星「おうよ」
春「良かったね、結夢ちゃん」
2人がニコッと笑う。
結夢「うん、」
私も笑って頷く。
結真「昨日、結夢が大泣きしたから」
白狼くんがニヤッと笑って私を見る。
私はむーっとする。
結夢「なんで言うんだバカー!」
私が白狼くんを叩くと、白狼くんは楽しそうに笑った。
姫星「え!?結夢泣いたの?どうしたの?」
春「お前結夢ちゃん泣かせんな!」
2人も一緒に白狼くんにくっつく。
結真「寂しいって言って泣いたんだよ、俺が泣かせたのと同じだな」
白狼くんは私の頭をクシャッとして言った。
姫星「結夢は我慢しちゃうタイプだからねー、いい子すぎるんだよ」
春「姫星はわがまま多すぎるけどね」
姫星「うるせ!」
姫星が高梨くんをグーで殴る。
結夢「あはは!」
私が笑うと、白狼くんも微笑んだ。
クラスメイト1「なになに!楽しそうねー!」
クラスメイト2「いつもの4人組じゃん!」
クラスメイト3「ほんと、仲良しカップルだね」
クラスの女の子3人が私達に声をかけてきた。
姫星「まあね!」
姫星がドヤっと笑って高梨くんの腕を組んだ。
春「ついさっき殴ってきた彼女だけどね〜」
高梨くんが意地悪に言うと姫星がまた高梨くんを殴る。
クラスメイト2「姫星達は友達みたいなカップルだ、あ!いい意味でね?」
クラスメイト1「確かに、一緒に居て楽しそう」
クラスメイト3「結夢と結真くんとは全然違うよね」
クラスメイト2「ゆめゆまは大人のお付き合いっていうか、落ち着いてて安定!って感じ」
クラスメイト1「めっちゃわかるー!2人がラブラブイチャイチャしてるとこ想像できん」
クラスの女の子達が盛り上がっている。
姫星「私らと結夢達はほんとにテンション差あるよね」
春「でも俺結構憧れる!結真達に!」
クラスメイト1「私もめっちゃ憧れるわー」
嬉しい。
照れ笑いをすると、クールな顔の白狼くんが私の方を見た。
やっぱり白狼くんは私と姫星以外の女の子とあまり話さないんだ。
なんだかまた嬉しくなる。
特別な気持ち。
クラスメイト3「気になってたんだけどさ、」
クラスの女の子が私と白狼くんの方を見た。
なんだろうと首を傾げる。
クラスメイト3「結真くんはクールで、全然笑わなくて、なんか冷たい感じで、女子と壁があるじゃん?」
結真「うん」
私はそうなの?って意味を込めて白狼くんを見ると、無表情の白狼くんが頷いた。
クラスメイト3「あ、ごめん、別に結真くんのことが嫌いなんじゃなくて、」
クラスの女の子が申し訳なさそうに言うと、白狼くんがようやく口を開いた。
結真「あー、いいよ別に、事実だから」
クラスメイト3「ありがと、そんでね、」
クラスメイト3「クールな結真くんは結夢の前でもあんま笑わないの?」
そんなことは無い、と思う。
結夢「そんなこと、ない、よね?」
私が白狼くんを見ると、少し笑って私を見た。
結真「さあな」
さあなって。
私が知ってる白狼くんは教室での白狼くんと同じなのかな。
クラスメイト2「え、結真くんのそんな優しい顔初めて見た。」
クラスメイト3「それな、笑ったよね、今」
クラスメイト1「いつもの人を殺す目つきじゃない!優しい目!」
みんな、ちゃっかり悪口言ってない?
結夢「私の前ではいつもこんな感じ」
私がへにゃっと笑うと、クラスの女の子達は笑って言った。
クラスメイト1「そっか、結真くんは結夢に心開いてるんだね」
クラスメイト3「結夢は結真くんにとってガチで好きな女で、特別なんだよ」
私は嬉しくなって白狼くんの手をぎゅっと握った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。