第116話

おそろいのカチューシャ
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2022/11/20 02:39
旅行2日目


姫星「ユニバ来たぞー!!」


春「わー!!」


姫星と春くんが手を繋いで走り出す。


結夢「ふふ、楽しそう」


結真「似たもの同士」


結真くんは私の手を握って歩き出す。


姫星「ねえ、カチューシャ買おう!」


姫星が私たちの方を見て言う。


キラキラな笑顔。


私の大好きな笑顔。


結夢「うん、買おう」


4人で店に入る。


カチューシャ売り場に行く。


春「お揃いにしよ」


姫星「するー」


姫星たちはピンク色のキラキラのティムのカチューシャを手に取った。


春「俺たちの服にぴったり」


姫星「私も思った!」


今日、姫星と春くんはリンクコーデをしている。


髪が2人とも桜色だから、ピンク色のカチューシャも良く似合う。


2人が羨ましいな、と思ってしまう。


私たちの服装は、結真くんはオールブラックでカッコイイ服。


私は白の膝上くらいのワンピースに黒のブーツ。


全然違う。


せめて、カチューシャはお揃いにしたい。


結夢「結真くんは、何にするの?」


私は結真くんを見上げる。


結真「俺は買わないけど」


結真くんはクールな顔で言う。


結夢「へ、せっかく来たんだし、みんな付けるし、」


結真「嫌だよ、こんなん恥ずい」


結真くんは首に手を当てて言う。


結夢「そっかあ、だよね」


私はへらっと笑う。


結夢「ちょっと、あっち見てくるね」


私は手を離して、結真くんから離れる。


そうだよね、結真くんはカチューシャとかつけるタイプじゃない。


ちょっとだけ、悲しい。


しゃがんで下のカチューシャを見ていると、グイッと腕を引っ張られた。


結真「あ、泣いてない、よかった」


結真くんはパッと手を離す。


結夢「泣いてるってなんで」


結真「つけたかったんだろ?お揃いで」


結真くんは私の手を握って立たせる。


結真「ごめん気づかなくて、買お、お揃いにしよ」


結真くんはクールな顔で見つめる。


結夢「うん」


私は笑う。


嬉しい。


結真くんは優しい。


結夢「結真くんが選んで欲しい」


結真「俺?」


私が頷くと、結真くんはカチューシャを眺めはじめた。


結真「これ」


結真くんは黒のスヌーピーのカチューシャを手に取る。


結真「俺ら、白黒だし」


結真くんはそう言って私の頭につける。


結真「ん、かわいーよ」


結夢「ふふ、これにする〜」


私はへにゃっと笑ってカチューシャを触る。


結真くんは私のカチューシャを頭から外して2つ持ってレジに行く。


私も追いかける。


結真「俺払うよ、結夢は出さなくていい」


結夢「ありがとう、後でなにか買わせてね」


結真くんは優しく微笑んだ。


お会計をして、外に出る。


結夢「私たち外いるね」


姫星「はーい!まだ見てるから少し待ってて!」


結夢「うん」


外で2人でカチューシャをつける。


結夢「耳にかけるのと、かけないの、どっちがいいかな」


結真「かける」


私は頷いて髪を耳にかける。


どっちがいい?とか、何がいい?って聞いても、なんでもいいって言わないところ素敵だなって思う。


カチューシャをつけると、結真くんもカチューシャをつけた。


結真「まじ、恥ず」


結夢「あはは、とっても似合ってる、カッコイイ」


結真「嘘」


結夢「嘘じゃないよ」


私はスマホをカメラにして、パシャッと結真くんを撮る。


結真「おい」


結夢「カッコイイでしょ?」


結真くんに見せると、私を睨む。


結夢「ふふ、スマホの壁紙にしようかな」


結真「やめろ」


この写真、ほんとにモデルさんみたい。


全然笑ってないけど。


パシャッ


私は顔を上げる。


結真「仕返し」


結真くんはべっとして私にスマホを見せる。


スマホを見ている私の写真。


私結真くんからこんなに小さく見えてるんだ。


結夢「なんか、小さい」


結真「これ、ストーリーにあげてい?」


結真くんのインスタは投稿もストーリーも滅多にあがらない。


珍しい。


私は何度も頷く。


嬉しい。


結夢「私もこれあげていい?」


結真「めっちゃ嫌だけどいいよ」


結夢「やったー」


2人でストーリーをあげる。


結真「ん」


結真くんは内カメにして腕を伸ばす。


結夢「へへ」


私は結真くんにくっつく。


結真くんは少しかがんでくれた。


結真「すげー笑うじゃん」


撮れた写真を見て言う。


結夢「楽しい」


そんなこと言うけど、結真くんも微笑んでいる。


この写真、部屋に飾りたいな。


結真「部屋に飾ろ」


頭の中を読まれたのかと思ってびっくりする。


結夢「私も同じこと考えてた」


結真「はは」


結真くんは笑顔で私を見た。

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