第117話

街中カップルフォト
669
2022/11/25 09:44

旅行3日目


姫星「また後で会おう!」


結夢「はい!」


私は敬礼をする。


今日はそれぞれにデートをする日。


結真「どこ行く?」


結夢「カフェとか」


私は笑って言う。


結真「それなら、ここは?」


結真くんはインスタを私に見せる。


結夢「可愛い、これ、月うさぎのパンケーキ」


結真「行こ」


結真くんは私の手を握って微笑む。


結夢「うんっ」


私は笑って頷く。


結真くんと歩いてカフェに向かうことにした。


結夢「インスタで調べてくれてたの?」


結真「んー」


結真くんは前を見ながら適当に返事する。


これは事前に調べてくれてたんだな。


結夢「ありがとう」


結真「何もしてないから」


結真くんは優しく笑う。


結夢「たのしーなー」


私はルンルンで歩く。


カフェについて、お茶をしながらお喋りして、外に出る。


??「すんません」


知らない男の人に声をかけられる。


私より3歳くらい上の若い男の人。


フォーマルな服を着ている。


結真「なんですか?」


結真くんは私の前に立って言う。


守るように。


??「あ、ナンパじゃないんすよ」


結真「はい、」


結真くんは嫌な顔で頷く。


??「自分は東京のディー厶事務所の下っ端で、今スカウトしてたんす」


結夢「スカウト?」


??「はい、今度発売の雑誌の中に街中カップルフォトのページがあって、そこを任されちゃって」


??「そこで成績出さなきゃちょっとやべえって感じで」


あははっと能天気に笑う。


結真「だから俺たちを撮りたいと?」


??「あい、お願いします」


結夢「あの、お名前なんですか?ほんとに事務所の方なんですか?」


なんか怪しい。


??「忘れてました!すんません」


ワタワタと名刺を取り出す。


私たちに名刺を渡す。


??「自分、ディーム事務所の泉です」


名刺には、ディーム事務所 社員 泉肇(いずみ はじめ)と書かれている。


結夢 「本物だね」


結真「なんで俺たちなんですか?カップル、他にいますよね」


泉「ビビッと来たんすよ」


泉さんはヘラヘラと笑う。


結真「なんで東京の事務所なのに関西の方に?」


泉「なんとなくっす」


常に無計画でのほほんと生きてる感じの人だ。


きっと喧嘩とか、揉め事とは無縁で平和主義。


結夢「それ、撮って雑誌に載るだけですか?」


泉「はいっ、上司から却下されない限りっすけど」


結真「撮るの」


結夢「思い出で、いいんじゃない?」


私が笑って言うと、結真くんは渋々頷いた。


結真「いいですよ」


泉「ほんとっすか!ありがとうございます!」


泉さんは私たちを裏路地に連れていく。


泉「ここ、自分穴場だと思ってて」


私たちを並んで立たせて、泉さんは離れて行く。


泉「普段のおふたりでお願いしやす」


結真くんは私を見る。


結夢「ふふ、なんか恥ずかしい」


結真「写真とか苦手なんだけど」


結真くんは私の手を握る。


結夢「ちょっとは笑ってよ」


私は結真くんの頬に触れる。


結真くんはクールな顔で私を見つめる。


結真「愛想笑いとか無理」


結夢「え〜」


泉「はーい、OKっす」


泉さんは私たちに近寄ってくる。


泉「最高っすよ〜」


結真「こんなんでいいんですか?」


泉「これがいいんです」


泉さんは優しく笑って言う。


泉「良ければ連絡先交換してれないですかね」


結真「はい、いいですよ」


3人で連絡先を交換する。


泉「ほんとにありがとうございました、これお礼っす」


泉さんは私たちにラーメン無料券を渡した。


結真「いえ、こちらこそ」


結夢「ありがとうございます」


泉さんにペコッとして2人で歩く。


結真「昼はラーメンだな」


結真くんはラーメン無料券を見て言う。


結夢「ラーメン食べよ」


私は笑って言う。


結真「雑誌に載ったら俺らの子供に自慢したいな」


結真くんは私に微笑む。


子供


結真くんとの未来が続いているみたいで嬉しくなる。

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