第20話

狸葉津の気持ち
967
2021/02/12 11:42
獅子山 康介
はい、では気をつけて帰るように!
先生の合図でみんなが一斉に立ち上がる
今日も学校という名の地獄がやっと終わり、天国がやってきた!
って思ったんだけど今日はそうでもないみたいだ
竹竺 狸葉津
狼眞、ちょっといい?
狸葉津が楓の所へ向かおうとする俺を呼び止めた
獣獅野 狼眞
なんだよ?
竹竺 狸葉津
話があるんだ
獣獅野 狼眞
なに?急に...まぁ別にいいけど
なんか初めてあったときみたいだな...違うところといえば狸葉津が少し殺気立ってることか?
俺は黙って狸葉津について行った
すると連れて来られたのは告白勝負をした体育館
獣獅野 狼眞
おい、こんなところでなにすんだよ?
竹竺 狸葉津
ねぇ、覚えてる?
無視かよ...
竹竺 狸葉津
ここで俺は君に勝ったんだ、確実に
獣獅野 狼眞
まぁ、そうだな
わざわざあの事を思い出させてくれなくてもいいのに...未だにこいつの目的が読めん...
竹竺 狸葉津
あの時、俺は君をただの暇つぶしのおもちゃだと思って油断してた
竹竺 狸葉津
あの電話を君に聞かれたのは最大の誤算だったよ
獣獅野 狼眞
あ、そう
おもちゃって...俺はどういう目で見られてたんだよ...
竹竺 狸葉津
秘密を知られたとしてもなんともないと思ってた
竹竺 狸葉津
たとえ知られたとしても財閥の力で解決すれば良い
竹竺 狸葉津
その前に無理だと誰もが諦める
竹竺 狸葉津
なのに、君は諦めなかった
竹竺 狸葉津
たったひとりの女の子の為に
獣獅野 狼眞
...
竹竺 狸葉津
美しいね、これが真実の愛っていうのかな?
獣獅野 狼眞
知らねぇけどそうなんじゃねぇの?
俺はわざと意地悪く言う
竹竺 狸葉津
俺、ひとつだけ知りたいとこがあるんだ
獣獅野 狼眞
ん?なんだよ?
狸葉津はそう言うと俺の真前まで来る
竹竺 狸葉津
どうしたら、そのままで誰かに認められることができるの?
獣獅野 狼眞
へ?
認められる事ができる?なんのことだ?
獣獅野 狼眞
いや、知らねぇよ
獣獅野 狼眞
てか狸葉津なら充分認めてもらえてるだろ?
頭いいだろ?運動も俺ほどじゃないけどできるだろ?人間の観点から言うとイケメンだろ?
竹竺 狸葉津
違うんだよ
竹竺 狸葉津
みんな俺の権力や才能でやってきてる奴ばかりなんだよ...
竹竺 狸葉津
俺そのものを見てくれたやつなんかいない
竹竺 狸葉津
俺はもう猫被りな自分にはうんざりしてるんだ
獣獅野 狼眞
って言われても...
竹竺 狸葉津
お前なら分かるだろ?だってみんなお前を見て、認めている
そう言って狸葉津は深いため息をついた
竹竺 狸葉津
俺もそうなりたいんだよ
竹竺 狸葉津
ねぇ?良いだろ?狼眞
獣獅野 狼眞
え、えぇ...
俺が後ずさると聞き慣れた声が響いた
野山 楓
狸葉津くん!
獣獅野 狼眞
楓!?
振り向くとやっぱり楓
どこに行くかは言ってないはず...
鳥伊 菜瑠
ちょっとちょっと!2人でなにやってんの?
とそこに菜瑠もいた
獣獅野 狼眞
いや、実はさ...
鳥伊 菜瑠
言わなくても分かるよ!話は聞かせてもらった!
野山 楓
ちょっと菜瑠...
こいつ、さっき何してんの?とか言わなかったっけ?
鳥伊 菜瑠
言ってみたかったの!このセリフ!
野山 楓
あ、そう...
竹竺 狸葉津
なんで...
鳥伊 菜瑠
なんでじゃないよ!楓の彼氏の狼眞が狸葉津とどっか行くとこ見たらついて行くに決まってんじゃん!
おーつまり、最初っから見てなのね...でも”楓の彼氏”って響きは悪くないからよしとしよう

野山 楓
あのね、私、狸葉津に言いたい事があるの
竹竺 狸葉津
え?
野山 楓
私は狸葉津くんのことすごいと思うよ

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