第11話
告白勝負
先生の話が終わった後、狸葉津が俺の席に来た
今日は勝負当日
そう
今日楓に告白するんだ!
この日までにたくさんのことをした
楓が俺を選んでくれるために
たしかにあいつならやりかねない...
菜瑠が俺にもたれかかってだるそうに返事をした
あーもうめんどくさい...
菜瑠が不満げに言う
菜瑠が呼ぶ声がするけどんなの知らん!
狸葉津の声で俺は走るのをやめた
そして俺はふたたび走り出した
俺達が体育館に着いたときには楓はもう来ていた
楓はなんか気づいたような顔をする
楓がそう言った瞬間、俺と狸葉津は声をそろえて言った
楓は状況に追いつけないのか困惑している
楓は一瞬戸惑った表情をした後
決心したように顔をひきしめた
そして_
楓は俺の名前を言った
そして狸葉津の方に歩み寄ると満面の笑みで言った
そう言って狸葉津は楓を抱きしめる
楓は顔が真っ赤だ
そんな2人を見ていると自分が情けなくなった
ここ数日、心のどこかで分かっていた
楓は狸葉津が好きなんだって
でも気づかないようにしていた
心の奥底にしまい込んでふれないようにしていた
自分にも勝ち目はあると信じたかった
ちらっと狸葉津を見ると目線だけこっちに向けて、目で俺をあざわらっていた
悔しかった
でももうどうしようもない
俺は楓が幸せならそれでいい
人間になって楓が幸せになる手伝いをしたっということにすればいい
悲しいのは悔しいのは気のせいだ
これまでの努力は全部楓を幸せにするため
そう思えばいいだろ?狼眞
大丈夫
泣かなくていい
結果は決まっていたんだ
いまさら悲しむことはない
もうつかれたかもしれない
俺は思わず気を抜いてしまった
耳としっぽが飛び出る
垂れ下がっているけども
狸葉津と楓の幸せそうなところをもう一度見てから
俺は静かに体育館を出た