第25話

カエデが舞う中で
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2021/07/26 09:38
鳥伊 菜瑠
狼眞〜。まだ〜?
獣獅野 狼眞
かっしーな...。ここら辺だと思うんだけど...。
竹竺 狸葉津
ほんと、いい加減にしろよ。お前。
野山 楓
それには同感...。
あれからかなり時間がたったと思う。けど俺達はまだ森の中を彷徨っていた。
鳥伊 菜瑠
マジで疲れたんだけど...。
俺は全然大丈夫だけどみんなの体力はもう限界に近いみたい。これはやばい...。
竹竺 狸葉津
もう今日は帰ろ。無理だって...。
獣獅野 狼眞
ちょっと待てよ!あとちょっとだけ!
鳥伊 菜瑠
つってもね〜。
やばいやばいやばい!このままだと帰ることになる!
だったら...。できるか分からないけど...。
獣獅野 狼眞
お前ら!うるさかったら耳、ふさいどけよ!
野山 楓
え?
目一杯息を吸い込んで...。
獣獅野 狼眞
アオーン。
俺は森全体に響き渡るように遠吠えをした。できるか不安だったけどなんとか行けた。
鳥伊 菜瑠
ちょっ!狼眞!なんで急にっ
獣獅野 狼眞
しっ!
騒ぐ菜瑠を黙らせる。みんな不思議そうだけど俺に合わせてくれた。
ピョコっと狼の耳を出す。するとかすかに葉っぱを踏んでいる音が聞こえてきた。そしてこの匂いは...。
獣獅野 狼眞
来た!
竹竺 狸葉津
え?
俺が指さした先から出てきたのは一頭のデカイ狼。
俺はこの狼をよく知っている。俺の親父だ。向こうも俺が分かったようでとても驚いている。
狼夜
狼眞か!?
心配してたけどまだ言葉は分かるみたいだ。みんなには吠えてるようにしか聞こえないだろうけどな。
獣獅野 狼眞
おう!ただいま、親父。
竹竺 狸葉津
親父?この狼がか?
みんなは驚いているのか口をパクパクさせている。
獣獅野 狼眞
おう。親父の狼夜。
鳥伊 菜瑠
狼眞のお父さんねぇ...。
野山 楓
すごい...。
あれ?でも親父一人なのはおかしいな...。
獣獅野 狼眞
親父。他の奴らは?
狼夜
あぁ。それならもう来る。
親父が言った瞬間に後ろから音がして数匹の仲間達が姿を表した。
おばば
狼眞。久しぶりだのう。
獣獅野 狼眞
おばば様!
おばば様含め、みんなも元気そう。良かった...。さてと、そろそろ本題にうつろうかな?
獣獅野 狼眞
親父!紹介したい子がいるんだ!
狼夜
おっ?お前が言っていた楓ちゃんか?
獣獅野 狼眞
おう!
さっすが親父。察しがいい。
鳥伊 菜瑠
か〜え〜で〜!いっといで!
野山 楓
え?
竹竺 狸葉津
俺達はじゃまにならないように後ろにいるから。
野山 楓
ちょっと!2人とも!
2人も察してくれてどっかに行ってしまった。楓は困惑してるけどなw。
獣獅野 狼眞
楓。
戸惑う楓を手招きする。そしたら楓はためらいながらもこっちに来てくれた。
野山 楓
ど、どうも。
楓は軽く頭を下げる。
獣獅野 狼眞
親父!俺の彼女の楓です!
野山 楓
ちょっ!狼眞くん!
俺が高らかに宣言すると楓は顔を真っ赤にして声を上げた。
狼夜
ほう。なかなかかわいいじゃないか。狼眞にはもったいないんじゃないか?w
獣獅野 狼眞
るっせー!
野山 楓
な、なんて言ってるの?
あ、そっか。楓には分からないのか。
獣獅野 狼眞
俺にはもったいくらいかわいいって。
野山 楓
そ、そんなことないよ!?
またもや照れ始める楓。マジでかわいい〜!
獣獅野 狼眞
それでな!
俺は親父やみんなにこれまでのことを話した。話終わった頃には気づけば日が傾いていた。
獣獅野 狼眞
んじゃ!そろそろ行くわ!
狼夜
そうか。狼眞。
獣獅野 狼眞
ん?
狼夜
最初にいた2人はお前の友達だろ?良かったな。
獣獅野 狼眞
...おう。
俺と楓は2人で歩き出した。ふと周りを見るとカエデの葉が宙を舞っていた。
その景色があまりには楓と出会ったときに似ていて俺は少し、懐かしかったんだ。
次に来る時はまたしんてんしてからだな!
俺は楓と出会ったこの故郷に精一杯の感謝と二度目の別れを告げた。楓の隣で_。
                 ーENDー

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