『はい面白い話終了。これ以上はなにも出ません。』
喋ってて恥ずかしくなった私は捲し立てるように会話を打ち切る。
ね「…」
『…』
沈黙。しばらくの間白けた空気がその場を漂う。
『ね。もう寝ない?私そろそろ眠くなってきた。』
私はその空気に耐えられなくなりそう提案する。
ね「うぅん…。」
肯定とも否定ともとれる曖昧な返事がねぎくんから返って来る。
『ねぎくぅーん?』
そう言ってねぎくんの元へ行き埋もれた頬をつつく。するとねぎくんは抱きしめていた麦ウェイから顔を離し眉を下げてへにゃっと笑った。
『ん"っん"ん"ん"ん"ぅぅ』
私を殺しにかかってるのだろうか?その笑顔は凶器そのものだった。
そんな私の心情など露知らずねぎくんは首を傾いで、私の髪の毛を弄り出す。
『ね、ねぎくんー…おねんねしよぅー…。』
そう優しく言ってねぎくんの腕を引っ張る。しかしねぎくんは全く動く気がないようでそのまま腕を引っ張る私の腕を掴んで軽く引き寄せる。私はバランスを崩してねぎくんの上に覆い被さるように倒れる。
『ねぎくーん…。動けないんですけどぉ…。』
私の腕に抱きついて離れないねぎくんにそう投げかけてみる。しかしんぅー…と答えが返って来るばかりで全く動く気配はない。
私がどうしようか困っていると肩をつつかれた。ねぎくんに視線を移すと腕をバッと広げた。
おいでと言っているのだろうが流石に恥ずかしすぎる。
私がそのまま動かないのが気に食わなかったのかねぎくんは頬を膨らませてソファに座り直してそのすぐ隣をぽふぽふと叩いた。
私は素直に隣に座る。
ね「隙ありー♪」
ねぎくんは嬉しそうにそのまま私を押し倒す。して、私を抱き締めたまま直ぐに眠ってしまった。
逃げ場を失ってしまった私は逃げ出すのを諦めて大人しく天井を見つめる。
…電気消してねぇじゃん
しかし私は動ける訳でもないので諦めてそのまま目を閉じ、眠ることにした。
次の日暑すぎて汗だくになって起きるのはまたべつのお話。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。