傷口を洗っている間男の子は常に自分の膝と睨めっこ状態だったが、泣くことは無かった。きっと我慢強い子なのだろう。
『偉いねぇ。痛かっただろうに我慢できて。』
よしよしと頭を撫でてやるとえへへと笑う男の子。その顔が可愛くてつい顔が綻ぶ。
『君、恐竜とか好き?』
私がそう言うとぱぁぁぁと男の子は目を輝かせ首を縦に振る。私は携帯からICカードを取り出し、
『買いに行こっか。』
と男の子の手を引いて近くのコンビニへと入る。
私は恐竜の絵柄が描かれている小さな箱を手に取り、会計を済ませる。
コンビニからでて、公園に戻り、ティラノサウルスが描かれた絆創膏を左膝に貼ってやる。
男の子はさっきの泣き顔などなかったかのように笑顔だった。
『なんと…残りは君にプレゼントしちゃいます!!』
小さな箱を差し出し小さな手に乗せる。
男の子は相当嬉しかったのか、
男「ありがとう…お姉ちゃん!」
と満面の笑みでそう言った。
無邪気だな。と
私には目の前の小さな男の子が、幼い頃のねぎくんと重なって見えていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。