SIDE:🐨
いま、隣で寝ているのは
世間の認識なら“元カノ”って人で、
お互いの認識なら“親友”だし、
俺 個人の感情なら“好きな人”。
好き、どころじゃないけど
数分、数秒おきに隣を見ては
大して起こす気もなく声をかけて
無気力そのもの、なんか前の頃みたいで
俺の、すごく好きだった時間
しあわせで口がゆるくなる瞬間
たくさん喋りたいし、絡みたいって
そういえば昔、告白する前に言ってた
俺にはそれができないから
そのままの俺でもよければ
付き合って欲しいって、
かっこつけて言ったけど
それって、押し付けてたんだよな
寝ているあなたがあわよくば
この上手とは言えない日本語を聞いて
それでもう一回、起きてる時に
同じように言うんだ、「みあね」って
そんなくだらない言語遊びを考えてたら
少しだけ、肩に重みがかかって
確かめなくてもわかるのに
うれしさと困惑で見返しちゃって
どうしようもなくキスをした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!