あなたside
阿部「あなたご飯食べてないでしょ?
すっごい痩せてる、もはや骨だよ」
『触らないで、、!
阿部ちゃんまで汚れちゃう、、!』
阿部「あなたは汚れてなんかない!」
『汚れたの、真っ黒なの、もう遅いの』
『だから、ばいばい』
もう死のう
そう思って屋上の端まで行こうと思ったら
阿部ちゃんが後ろから私を抱き締めてきた
優しくしないでよ
ほんとに、もうだめなの
『やめて、離して、!』
『暗闇の中でいいの、居心地いいの、!』
『もう光なんかいらない、欲しくない、!』
『だから、もう死ぬの』
阿部「お願いだから、死ぬとか言わないで、、」
阿部「ほんとに暗闇の中がいいの?
光なんかいらないの?」
阿部「俺はあなたを照らしたいけど、だめ、?」
阿部ちゃん、体震えてる、声も
首元になにか冷たいものが落ちてきた
もしかして泣いてるの?
なんで私なんかのために泣くの?
暗闇の中がいいわけないじゃん
光なんかいらないわけないじゃん
本当は欲しいよ
阿部ちゃんが照らしてくれるなら尚更
『ほしいよ、いいわけないよ』
阿部「俺、ずっとあなたが好きなの」
阿部「だから、お願いだから、いなくならないで」
『いつか嫌いになるよ、私のこと』
阿部「ならない!絶対ならない!
あなたがもういらないって言っても照らし続ける」
『ほんと?』
阿部「絶対」
阿部「だから、あなたももういなくならないで?
俺らのこと頼って?楽になっていいんだよ」
『ごめん』
阿部「あなたは悪くないよ、戻ろっか」
そっと手を握ってくれる阿部ちゃん
なんだろう
心にあった苦しみとかが全部消えた感じがした
いていいんだ、そう思えた
誰かに求められたかったんだ
阿部ちゃんありがとう
やっと戻ってこられた気がするよ
1つ気になるのは那須と阿部ちゃんの関係なんだけど
『阿部ちゃんと那須っていつ繋がってたの?』
阿部「最近あなたの様子がおかしくて、
俺らじゃ分かんなくて那須なら何か知ってるかも
と思って連絡してみたの。」
阿部「そしたら那須も心配してて、
全部話してくれたんだ。
復讐しようとしてるとか、健人の事とか、
案の定俺らの予想が当たっちゃったんだけどね笑」
『みんな知ってるの?』
阿部「すのすとは知ってる」
『そっか、』
阿部「隠し事はもうなしだよ?」
『うん』
『阿部ちゃん』
阿部「ん?」
『ありがとう』
阿部「元のあなたが戻ってきてよかった」
そう言う阿部ちゃんの目には涙が浮かんでた
7年前の悲しい涙じゃなくて
多分嬉し涙だよね
リハ室に入るとみんながすごい心配そうに見てきたから
私はなんか嬉しくて思わず笑っちゃって
それにつられてみんなも笑ってて
もう離れないって心にそっと決めた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!