その日の夜
いつものように涼太のご飯を食べて
翔太の部屋でごろごろしていたら
仕事先から連絡が来た
「はい」
電話に出るとチーフマネージャーだった
明日の夕方から夜中にかけて
お金は10万円
そんなの行くとしか言えなくて
それと同時に自分の体が汚いとまた思った
「失礼します。」
淡々と切った電話をベットに置いて
フラっと家から出た
必要なのは私の体だけ
そう思うと私という人間を必要としてくれる人が
1人もいないんじゃないかと不安になる
不安になるといつも夜道を1人
フラフラと歩いてた
翔太と会った日もそうだった
結局、環境だけ変わって
中身は何も変わらないんだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!