ふっかに慰められ部屋を出てから
また違う人の部屋のドアをそっと開ける
「亮ちゃん」
亮平「あなた?」
「入っていい?」
亮平「いいよ、おいで」
そっと開けると亮ちゃんは
机に向かって勉強をしているようだった
それを中断して本を閉じた
「明日天気になる?」
亮平「天気聞きに来たの?」
私が質問すると可笑しそうに笑う亮ちゃん
「勉強中なのにごめんね」
亮平「あなた泣いたでしょ」
「へ?」
亮ちゃんの机の横のベットに座ると
亮ちゃんが私の顔を見て近づいてくる
「亮ちゃん?」
彼の名前を呼んでも
彼は黙って私の隣に座って私の目を見つめて
私の涙のあとを優しく拭った
「どうしたの?」
亮平「天気予報聞いたら帰っちゃうの?」
いつもと違う亮ちゃんに少し戸惑いつつ
なぜか目をそらせなかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!